「自分たちが親世代より豊かに暮らせる可能性は低い」。今、そう考えている若い人たちは少なくありません。しかし、日ごろから経済活動の現場に触れて会社を見る目を磨き、働きながら投資を行うことで、「普通の人」が相当の資産を持つことは十分に可能だとビジネスコンサルタントの山崎将志氏は言います。
 今回は、山崎氏が現在注目している米国企業を引き続き紹介。『父さんが子供たちに7時間で教える株とお金儲けの教養。』(日本経済新聞出版)より内容を編集してお届けします。

会社の「表面的なダメ」を、伸びしろと考えてみる

 前回、「1)自社でしか提供できない製品・サービスが、2)世界中の会社・個人に使われており、3)これからも新しい領域を切り開いていくと期待されている」という株価の上昇が期待できる3点を満たす会社の例として、米エヌビディア(NVIDIA Corporation)の話をした。

 今回は同じ条件に当てはまると私が考える会社、ショッピファイ(Shopify Inc.)を取り上げたい。

 ショッピファイは、オンラインストアのシステムを提供している会社である。同社が日本に進出してすぐ、私はサービスを使い始めて、その新規性に感銘を受けた。現在も継続して使用しており、日々進化しているのを体感している。

 同社はカナダ発祥の会社であるが、多くの主要言語に対応しているため、世界のほとんどの国と地域で使われている。

 しかし日本での実績は、これからという印象だ。主な理由は、表示の日本語がいかにも翻訳っぽくて読みにくい、デフォルトの住所の並びが日本の慣例と異なる(北米の住所表記は「建物と部屋番号、番地、市区町村、都道府県、郵便番号」の順である)、データをダウンロードするときに文字化けする、日本で主流の決済サービスに対応していないなど、海外発のサービスに関するネガティブ評価の“あるある”がほとんどだ。

 これらの問題はダメと言えばダメなのだが、ダメにもレベルがある。問題が「根本的なダメ」と「表面的なダメ」に分けられるとするならば、「表面的なダメ」は解決可能である。

 先述の問題点は、私から見れば「表面的なダメ」で、大した話ではない。私は昔プログラマーの端くれだった。新入社員当時、アクセンチュアは全員プログラマーからキャリアをスタートした。正直私のプログラマーとしての能力は中の下のレベルだったが、その程度の人間でも、いわゆる「使いにくさ」の部分のほとんどは自分で改変できる仕組みがショッピファイには用意されている。

 私が持つ、中の下レベルのプログラミングスキルでも直せる程度のことを日本のユーザーが不満に思っているということは、見方を変えれば「まだ伸びしろがある」ということだ。問題ははっきりしていて、それを直せば使ってくれる可能性が高いのだから。だから日本でももっとたくさんの人が使うようになるだろうし、英語圏以外の国でも同じ状況だと、私は考えている。

現段階で使いにくいサービスだからといって、ダメな会社と決めつけるのは早計だ(写真:bbernard/shutterstock.com)
現段階で使いにくいサービスだからといって、ダメな会社と決めつけるのは早計だ(写真:bbernard/shutterstock.com)

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