2004年に操業を始めた西ジャワ州のスカブミ工場
2004年に操業を始めた西ジャワ州のスカブミ工場

 こうしてインドネシアでは、健康をサポートする「ファーストエイド飲料」としてポカリスエットは定着していった。10年には日本の製造ラインと同等の無菌充填方式を備えた新工場、クジャヤン工場(東ジャワ州)も完成した。

 インドネシアは世界最多のイスラム教徒を抱える国でもある。同国での販促活動は、1983年に市場参入した中東の湾岸諸国(アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、オマーン、クウェート)やその周辺国でのマーケティングでも活用された。

 韓国では87年に、清涼飲料メーカー大手の東亜食品(安養市)に出資して「東亜大塚」に改組し、ポカリスエットの販売を開始した。日本食糧新聞の記事によると、2001年までに韓国のイオン飲料市場で、ポカリスエットは56%のシェアを占めトップとなった。02年には日本・韓国共同開催のサッカー・ワールドカップ(W杯)などもあり、スポーツイベントを契機に販売を急速に伸ばした。

2015年に生産ラインを増強した天津大塚の工場。電解質などの成分補給の大切さを訴える見学通路も設けた
2015年に生産ラインを増強した天津大塚の工場。電解質などの成分補給の大切さを訴える見学通路も設けた

 また、巨大な消費市場を抱える中国では02年に国営企業の天津実発集団と共同出資会社「天津大塚飲料」を設立して、合弁工場を同年10月に開所し生産を始めた。中国南部では05年に広東省江門市にも合弁会社を設け、生産・販売をスタート、12年までの10年間で中国での売上高は13倍に拡大し、同年7月には江門市に新工場を増設。3工場で生産するまでに拡大した。15年には天津工場の生産能力を約3倍に高めている。

2代目社長が戦略的に集中した輸液事業

 韓国や中国を除くと、ポカリスエットの海外市場は、インドネシアやタイなどの東南アジアや中東、そして19年に進出したメキシコなど、水分補給ニーズの高い気候の国・地域が多い。中でも、アジアの国・地域においては、ポカリスエット以前に医薬品の市場開拓を進めてきた経緯があることも大きな支えになっていたようだ。

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