鹿島アントラーズの経営に携わって、最初に直面したのは働き方の違いでした。メルカリとはカルチャーも違えば、意思決定プロセスも大きく違ったからです。

 例えば、鹿島アントラーズの場合、何かを決裁し承認に至るプロセスが社長まで含めて7階層ほどありました。承認には都度、押印が必要な状況で、時間もかかれば関連性の低い役職者の決裁も必要でした。これではスピード感も出なければ責任の所在も不明確になります。

 そもそも押印による承認は必要な事項なのか、そもそも7階層もの承認フローが必要なのか、意思決定や承認プロセスと年功序列型制度が重なり不必要な階層が増えていないか……。こうしたものを一つひとつ変えていく必要がありました。DX(デジタルトランスフォーメーション)の前に、CX(コーポレートトランスフォーメーション)を進める必要があったのです。

 多くの企業がDX化として押印の承認をなくそうとした場合、電子契約サービスの導入を検討すると思います。しかし、そのまま入れてもさほど決定が早くはなりません。システムを入れることがゴールではなく、「そもそも」論といいますか、本質的に意思決定のスピードと精度を上げるためにどうすればいいかを考え、不必要なプロセスはないかなど仕組みを変えていく必要があると思っています。

 また、企業としてのミッション、バリューを再確認し、どのような組織形態がいいのかという点も大事にしました。一人ひとりの意思決定が早く、次々とチャレンジできる組織がいいし、情報がシェアされると正しい意思決定につながると信じています。結果的にほぼメルカリと同じツール類を導入して働き方が変わりました。

 もちろん、現場からの抵抗がまったくゼロだったわけではありません。もしくは慣れるのに時間がかかる人もいました。それまでビジネスチャットツールを使ったこともなかったですし、WordやExcelの利用をやめ、Google DocsやSpreadsheetのような共有型のツールに変わることに戸惑いがあったはずです。働き方がどう変わるのか、評価制度がどう変わるのか、多くの社員は不安だったと思います。

 経営がまず手がけるべきことは、将来像や理想像を提示することです。目的を伝え、手段としてツールを入れる。手段が先に来てしまうと、当然「なぜ?」となってしまうからです。目的なくデジタル化といっても納得はできずに不満にしかならないので、なぜこのように会社を変えていきたいのかを話した上でそのためにツールを変えるという説明をしていきました。

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