また、評価システムもメルカリとほぼ同じになりました。もともと鹿島アントラーズのベースは年功序列型の評価・給与制度でしたが、現在は期初の目標設定についての達成度合いやバリューの評価を本人とマネジャーが振り返り、マネジャーが1人ずつ評価をし、経営陣と横のマネジャーにもその評価についてプレゼンしてキャリブレーションする体制になっています。納得度を高めるためのプロセスを入れることで、本人にもきちんと評価についてフィードバックされ改善を促す仕組みを入れています。
意思決定プロセスや評価制度を変えることが目的にならないように、あくまで目的はミッション達成のための手段として説明し、共感してもらうことで、新たな変化を前向きに捉えてもらうことが重要だと考えています。
コロナ禍のダメージは大きい
2020年初めから広がった新型コロナウイルスの影響はすさまじいものがありました。PL(損益計算書)ベースで言うと売り上げは2020年度が68億円から48億円に落ち込み、営業利益ベースで見るとマイナス9億円まで落ち込みました。年間の観客数は3分の1まで減り、チケット収入も前年比で40%程度にとどまりました。
また、そもそもスタジアムで試合を開催できないため、グッズ販売も前年比で4割くらい落ちました。コロナ禍で大きくダメージを受けたのはチケット収入とグッズ販売で、サッカーをビジネスとして見たとき、「来てくれてなんぼ」の世界というのを改めて実感しました。
即座に手を打つ必要がありました。スタジアムに来なくても収益化できる仕組みを早期に立ち上げる必要に迫られました。コロナ禍がいつ落ち着くか分からなかったためです。EC(電子商取引)事業のてこ入れやクラウドファンディング、ギフティング(投げ銭)に着手し、今年のクラウドファンディングでは約2億3500万円の支援をいただきました。
そして、将来的なクラブ経営の安定化と発展のためには「ノンフットボールビジネス」と呼んでいる領域の強化をさらに進める必要性を感じました。サッカー以外の領域、例えば、スタジアムを使ったイベント開催やスタジアム周辺でのクリニックやスポーツジムの運営といったものです。
社内外で訴え続けました。もはやサッカーチームがサッカーだけをやっていればいい時代ではないと。Jリーグのクラブチームはもともと地域に根ざした形で発展してきています。地域の課題を解決し、地元の人々のライフスタイルを支える企業へと生まれ変わらなければならない。
年間の試合はホームゲームに限ればリーグとカップ戦を併せてもせいぜい30試合程度です。残りの300日以上を活用して、クラブチームのビジネスを365日稼げるビジネスへと変えていかなければなりません。
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