2期生には上は40代後半、下には大学生の参加者もいました。親子ほど年が離れた人が1つのチームとなって語り合い、課題について考える。この化学反応がまた新たな価値を生むきっかけになる可能性を秘めています。
こうしたスポーツビジネス人材を育成する取り組みはJリーグも「SPORTS HUMAN CAPITAL」として実施しています。ただ、私がやりたいのはスポーツビジネスの先にある、地方の課題解決まで結び付けるところです。
地方の課題は、地方だけで解決できない

地方は課題をたくさん抱えています。ですが、その課題を自治体など地域単独で答えを出して解決していくのは相当難しい。人材も限られるし、ノウハウもない。そして、人がいないのは事実です。そこで思考停止に陥ってしまい、身動きが取れなくなってしまう。
だとすれば、外部の知恵と掛け合わせることが、解決へのヒントになるのではないか。このプログラムの卒業生の1人は、鹿嶋の町づくりをする会社に転職しています。ほかにも、大阪のプロ野球チームに入った人や、現職で社内のSDGs(持続可能な開発目標)を担当する部署に異動するきっかけになったという人もいます。
これまでに面白いアイデアがたくさん出てきました。特に、1期生のアイデアで実現しそうなプロジェクトとして印象深いのが「敵飯(てきめし)」という企画です。
Jリーグは全国にチームがあり、シーズン中は毎週いろいろな地方のチームと対戦します。そこで、サポーターがチームを応援する一環として、「敵を食う」べく、ホームタウンである鹿行(ろっこう)地域の特産品を使い、相手の地方の名物料理をつくって食べる。毎週、野菜や食肉、魚介類などさまざまなホームタウンの名産品が届きますので、それを料理して楽しむことで、自らが応援するチームとそのホームタウンを後押しする仕組みです。ビジネスモデルとしては月額のサブスクリプションサービスとなります。全国のアントラーズファンに発送し、鹿行地域の食材をサポーターが食することで、地域の枠を超えた活性化につながります。
アントラーズにはソーシャルメディアでのフォロワーは累計で75万を超えます。サポーターの一部が賛同してくれるだけでも、大きなムーブメントになっていくと思っています。
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