FPと顧客は利益相反

「ライフプランナーの使命は、一人ひとりのお客様に最適な生命保険をご提供すること。正しく生命保険の普及に励むことで社会に貢献し、お客様の一生涯にわたって寄り添い続けます」

 ある外資系保険会社のホームページから引用しています。ストーリー性と不確実性に問題があると思います。
 まず、1社専属の営業担当者に「お客様に最適な生命保険」の提供は難しいはずです。他社に優良品があっても扱えないからです。

 また、一生涯、お客様に寄り添えるのかも疑問です。例えば、同社は2016年度から2020年度までの5年間に3328人の営業社員を採用しているものの、在籍者数の増加は1184人にとどまります。営業開始は1988年ですが2020年度末の平均勤続年数は8.8年です。同社に限らず、保険業界の営業職は数年で退社する人が多いのです。

 だからといって、勤続年数が長い担当者に頼るのも怖いと思います。商品の選択肢が限られている中「他社に劣る商品でも売れる」力を持っているかもしれないからです。

 一般の人は「販売員の説明が不要な保険」を検討するほうが無難に違いありません。

「ライフプラン・保険・年金・税金など、人生において大切なお金のことを『お金のプロ』ファイナンシャルプランナー(FP)に無料でご相談いただけます」

 複数の保険会社の商品を扱う代理店が常用するコピーです。ストーリー性に2点、問題があります。

 まず、金融機関や代理店に勤務している限り、FPの資格を持っていても、商品などのデメリット情報に触れる機会は少ないと考えられます。販売促進の動機づけが難しくなるからです。

 次に無料で相談に対応している大半のFPは、金融商品の販売手数料などを収入源にしています。固定給でも、給与の原資には手数料が含まれている可能性が大きいです。
 したがって、相談の場では手数料が高いプランに誘導されやすくなります。彼らはFP資格を持っていても「販売のプロ」にすぎず、顧客とは利益相反の関係なのです。

 以上のように、総じてストーリー性に難がある事例が目立ちます。常識で「怪しい」と判断できる例も珍しくありません。読者の皆様が不安を喚起する情報に接した際も、いったん立ち止まって、3つのキーワードに照らしてみていただきたいと思います。

「医療保険やがん保険は、ギャンブルより損が出やすい」「貯蓄性がある保険は、お金が増えにくい」――。

「高額商品」であるにもかかわらず、生命保険はその中身が分からない「ブラックボックス」だ。保険の有料相談を行う保険コンサルタントである後田亨氏が、具体的な商品を取り上げながら、生保のカラクリを明らかにして好評を博した同名書の最新版。「結局、その保険に加入するのは得なのか?」が分かり、「いつの時代にも通用する根本的な保険との付き合い方」を学ぶことができる1冊。

後田亨(著) 日本経済新聞出版 1650円(税込み)

この記事はシリーズ「生命保険は「入るほど損?!」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。