最強の医療保険とは?

2 医療保険・がん保険

 「医療保険」「がん保険」については、「健康保険」が最強です。「高額療養費制度」があるからです。複数の媒体で書いた、医療保険とがん保険の商品設計に関わっている専門家の言葉を改めてご紹介しておきます。

 「高額療養費制度で医療費の自己負担額には上限があります。それなのに、なぜ、がん・三大疾病など病名別に商品が存在するのか、僕にはさっぱり分かりません。60代の友人たちにも『老後の医療関連リスクには、健康保険と自己資金で備えるのが賢明』と助言しています」

 筆者も同感です。日経ビジネスの読者の方には、勤務先の健康保険組合に独自の「付加給付」があり、仮に月初から月末まで100万円の医療費がかかっても、自己負担限度額は2万円程度になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 特にリスクが高まる老後の医療保障など、民間の保険に頼りたくなる人たちの気持ちは分かるつもりです。しかし、保険会社から給付を受けるには、会社側の経費や利益も負担する必要があります。私は各種データや専門家の証言から、医療保険やがん保険は「1万円を用意するのに1万5000円から2万円強の保険料を払う」仕組みと見ています。
 商品設計の専門家も「民間の保険商品で備えると費用が高くつく」点を重視し、医療費などは健康保険と自己資金での対応が正解だと言っているのです。

 したがって、「医療保険」や「がん保険」が検討に値するとしたら、貯蓄が少ない現役世代くらいでしょう。入院や大病が他人事ではなくなる世代は「発生しがちな事態に手ごろな保険料で備えられるわけがない」と常識で考えてほしいと思います。

 本稿では詳述しませんが、「介護」や「認知症」に備える保険についても考え方は同じです。「長寿化が進み給付対象になる人が増えるのであれば、民間の商品で合理的に備えるのは難しいはず」と認識すべきでしょう。
 現役世代が期間限定で入院などに備えたい場合、都道府県民共済の「入院保障型」を利用する手があると思います。決算の実績から、民間の制度としてはおそらく最も運営側の取り分が少ない良心的な仕組みと見られるからです。
 掛け金2000円の場合でも、決算時の剰余金が9割以上払い戻しされているので、実質的な負担は1400円未満になります。「新がん特約」を付加するのもありかと思います。

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