中国の国家主義的経済モデルへの対抗

 中国が国家主義的な経済モデルを堅持し、広めようとしている以上、アメリカおよび志を同じくする国々は一丸となってそれに対抗する決意を示さなければならない。さもなければ、中国は分断して征服せよという切り崩しのアプローチをとるだろう。この多国間協力は国際機関の尊厳と有用性を守るためにも不可欠だろう。中国共産党が世界貿易機関(WTO)などを屈服させ、自らの利益に沿うように運営をねじ曲げようとしているからだ。

 しかも、貿易や経済の領域にとどまらず、様々な国際機関の内部で中国に競争を挑む必要がある。中国は計画的に自国の幹部を主要な国際機関の上層部に押し込んできた。例えば、中国は国際民間航空機関(ICAO)の事務局長ポストを握っているが、2016年にはこれを外交的に台湾を孤立させるキャンペーンに利用した。また、国益のためには国家による虐待も正当化されるという中国共産党の規範を述べ立てるために、国連人権理事会という場を使った。

 中国による目に余るほどの国際機関の悪用は、やはりWTOに集中している。北京は2001年にWTOへの加盟合意書に署名した際の約束の多くを、20年近くたった今も履行していない。国内企業が享受している国家からの補助金について報告を拒み、また、外国企業に対しては国内市場にアクセスを認める代わりに独自の中核的な技術を強制的に移転させる慣行を続けたままだ。

 中国が経済的な報復で脅すため、WTOに苦情を申し立てる企業は少ない。中国共産党はこの抱き込みと強要の策略に、隠蔽まで加える。ルールを変えて技術移転は表向き「自発的」な対応になったが、企業にとって市場へのアクセスを得るためには依然、義務のままだ。

 また、中国は自らを発展途上の市場であり、特別扱いを認めるようにと主張し続けているが、これは本質的には、自分は世界の市場へのアクセスという恩恵にあずかる一方で、グローバルなルールと基準は守らないと言っているに等しい。

 自由かつ公正で互恵的な貿易に取り組むアメリカやその他の国々は、どこかの時点で中国に対する威嚇を検討しなければならなくなるかもしれない。中国が慣行を改めず、他の加盟国が満たしている基準を守らないのであれば、WTOから除名すると。

中国は2001年、WTOに加盟したが……(写真:Bernsten/Shutterstock.com)
中国は2001年、WTOに加盟したが……(写真:Bernsten/Shutterstock.com)

 中国と自由市場型の経済との間では、当然の成り行きとしての経済的な「デカップリング(切り離し)」が起きている。中国の不公正な経済慣行のせいだけではない。権威主義的な体制とのビジネスでは、リスクがますます大きくなっていることが根底にある。アメリカという存在は、このデカップリングを経済成長の鈍化やグローバルなサプライチェーンの混乱から守りつつ進行させることに役立つかもしれない。

 中国共産党の政策への最も効果的な対抗措置は民間セクターが握っている。中国の不誠実な戦術や不当な扱いが明らかになり、企業は中国市場へのアクセスが費用に見合うものなのか疑問視している。中国市場への投資の削減、そして、中国からの製造業やその他の産業の撤退は、党指導部に本物の経済改革こそが最高の利益なのだと説得する唯一の方法になるだろう。

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