半導体大手ルネサスエレクトロニクス元社長の鶴丸哲哉氏。同社が経営不振に陥っていた2013年に社長に就いてから21年3月に会長を退任するまで、8年にわたって経営再建に奔走し、復活へと導いた。今、世界の経営者は先が見通せない不確実な時代を生きている。その決断力で困難を乗り越えてきた鶴丸氏は、大きな変化が起こる時代にはトップダウンで方針をしっかりと打ち出すことが重要と説く。

ルネサスエレクトロニクス元社長
1954年生まれ。79年(昭和54年)鹿児島大院修了、日立製作所入社。生産畑が長く、2011年の東日本大震災時に主力工場が被災した際はルネサスの生産部門トップとして半導体供給網の復活を指揮した。ルネサスが不振にあえいでいた13年2月に社長に就任して再建をけん引。16年から会長を務め、21年3月末に退任した。(写真:加藤康)
半導体不足による製造業のサプライチェーン混乱が長引いています。
鶴丸哲哉ルネサスエレクトロニクス元社長(以下、鶴丸氏):皆さんご存じのように、最も大きい要因は「コロナショック」です。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中の半導体ユーザーの工場が一斉に止まり、半導体メーカー側も需要喪失にうろたえました。
そうした中で、コロナ禍を引き金に人々のライフスタイルが大きく変わりました。リモートワークやオンライン会議が急速に浸透し、パソコンや通信ネットワーク向けの半導体需要が爆発的に増えました。需要見通しが不透明な中で、世界の半導体メーカーはこうした分野への生産配分を一気に増やしたのです。
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