自動ドアが開くと「いらっしゃいませ」の声が響く。ありふれたコンビニの風景だが、この店舗は少し様子が異なっている。接客スタッフが液晶画面に映ったアバター(分身)なのだ。2022年11月下旬、都内にオープンした実験店「グリーンローソン」はアバターを導入し、障害などで店舗への出勤が難しい人でも遠隔地からリモートで働ける環境づくりを目指す。25年度までに全国100店規模まで拡大するのが目標だ。デジタル化により日本の未来を明るく照らすことはできるのか。社長の竹増貞信氏に聞いた。
![竹増貞信[たけます・さだのぶ] 氏](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/gen/19/00371/122100062/p1.jpg?__scale=w:350,h:487&_sh=0d2021030d)
アバター接客など先端技術を盛り込んだ実験店「グリーンローソン」の1号店が今冬、都内にオープンしました。この店舗に込めた思いを教えてください。
竹増貞信・ローソン社長(以下、竹増氏):アバターのプロデュース事業などを手掛けるAVITA(アビータ、東京・品川)のサービスを導入しました。遠隔地にいるオペレーターが声のほかに身ぶりや表情を通じて、接客の一部を担います。AVITAのCEO(最高経営責任者)を務める石黒浩・大阪大学教授から話を聞いていて「社会に広げていきたい」という思いを強く感じたんですね。

印象的なのが「障害などがあってベッド生活を強いられる人でも、自分のなりたい姿になって働くことができるんです」という言葉でした。僕らも一緒に、そういう働き方がスタンダードとなるような社会をつくりたいと思った。新技術なので課題も出てくるでしょうが、その度に解決していけばいいと考えています。
来店客の反応はいかがでしょうか。
竹増氏:「機械とやりとりしているんじゃないのね」「温かさを感じることができますね」といった声をいただいています。今はまだ1店舗ですが、複数店舗で導入が進めば、生産性が向上するでしょう。DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して単なる省人化ではなく、店舗の生産性を上げ、お客さまの評価も上げて、働く方の賃金も上げる。ベストミックスを保ちながら未来にチャレンジしていこうと考えています。

人は皆つながって生きたい
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