日本経済は「失われた30年」と称される長期低迷から抜け出せない。もはや経済学や経営学など従来のアプローチで活路は見いだせないのではないか。そう考えた記者はデザイン事務所、米IDEO(アイディオ)が東京に構えるオフィスの門をたたいた。IDEOは常識にとらわれずゼロベースから商品やサービス、新規事業の開発をサポートする「デザイン思考」を創始したことで知られる。現在、欧米アジアの9カ所に拠点を構える。その一つであるIDEO Tokyoの共同代表、野々村健一氏に話を聞いた。

<span class="fontBold">野々村 健一(ののむら・けんいち)氏</span><br />IDEO Tokyo共同代表。1982年東京生まれ。2004年に慶応義塾大学総合政策学部を卒業し、05年にトヨタ自動車に入社。12年に米ハーバード・ビジネス・スクールで経営学修士(MBA)を取得し、IDEO Tokyoの事務所立ち上げに参画。21年1月から現職
野々村 健一(ののむら・けんいち)氏
IDEO Tokyo共同代表。1982年東京生まれ。2004年に慶応義塾大学総合政策学部を卒業し、05年にトヨタ自動車に入社。12年に米ハーバード・ビジネス・スクールで経営学修士(MBA)を取得し、IDEO Tokyoの事務所立ち上げに参画。21年1月から現職

バブル経済が崩壊してから、産業構造を大きく転換させるような規制改革は実行されず、有権者もそのような政府を容認してきました。企業も成長のための設備投資に二の足を踏み、内部留保を膨らませています。結局、日本国の総意として「変わらない」ことを選択していると感じます。

野々村健一IDEO Tokyo共同代表(以下、野々村氏):僕の実感では、人々の変革に対する意識は10年前とずいぶん違います。IDEOが東京にオフィスを立ち上げた10年前は、「日本が培ってきたモノ作りの強みを生かそう」という意見が多かった。それがここ2、3年ぐらいは、「もっと根本的に変わらないといけない」という意見が市民権を得始めている気がします。

 「変わりたい」という意志を持つ会社が100%です。特に2020年から、新型コロナウイルス禍が続いている間に「変革の玉」を仕込んでおきたいという相談が多く寄せられています。実際に変革するフェーズに移っていく胎動を感じています。

 中でも日本の若者が変わりました。10年前なら大手企業で若手社員ができなかったことを、今はやっています。彼らを管理する上司の意識も変わったのでしょう。以前は若者にあった無力感が薄れています。

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