2021年9月にデジタル庁が発足し、同庁は10月に政府の共通クラウド基盤に米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と米グーグルを選定した。国産ITベンダーは選ばれなかった一方で、ソフトウェア協会副会長である田中邦裕氏はこの動きを「歓迎」する。田中氏は1996年にさくらインターネットを起業し、ネット業界に身を置きながら、国のIT化の行方を見つめてきた。日本のIT企業、そして経済界全体が活力を取り戻すには、覚悟を決めて研究開発を進める必要があると指摘する。

<span class="fontBold">田中邦裕 (たなか・くにひろ)氏</span><br />1978年大阪府生まれ。舞鶴工業高等専門学校4年生だった96年にさくらインターネットを創業し、98年に会社設立。2021年6月からソフトウェア協会の筆頭副会長。経済産業省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度検討会議」や「デジタル時代の人材政策に関する検討会」などの委員も務めている(写真:的野弘路)
田中邦裕 (たなか・くにひろ)氏
1978年大阪府生まれ。舞鶴工業高等専門学校4年生だった96年にさくらインターネットを創業し、98年に会社設立。2021年6月からソフトウェア協会の筆頭副会長。経済産業省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度検討会議」や「デジタル時代の人材政策に関する検討会」などの委員も務めている(写真:的野弘路)

デジタル庁が9月に発足しました。1年ほど前にお会いしたときは、当時の菅義偉政権が構想を打ち出していたころでした(参考記事:さくらインターネット田中氏(1)「エンジニアだから」と言い訳していた)。実際に動き出したデジタル庁をどう見ていますか。

田中邦裕・ソフトウェア協会副会長(以下、田中氏): デジタル庁は「ガバメントクラウド先行事業」にAWSとグーグルの2者を選びました。日本のIT業界は(「FNH」といわれる富士通、NEC、日立製作所などの)ハードウエアメーカーが主導してきましたが、今回、ネット企業を採用したのはとても歓迎すべきことです。

 平井卓也・前デジタル相が提唱した(クラウドサービスの利用を第1候補として考える)「クラウド・バイ・デフォルト原則」の考えを突き詰めたからだとみています。組織体制についても、(スタートアップを立ち上げる感覚で仕事をする意味の)「ガバメント・アズ・ア・スタートアップ」の考えが継承されています。

日本のIT企業は従来、政府のシステム構築にどのように関わってきたのですか。

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