多様性の中で求められる民主主義

なるほど。しかし、コロナ禍の中でそもそも民主主義がベストかどうか疑う声もあります。

真山氏:ウィンストン・チャーチル元英首相が「民主主義は最悪の政治と言える。これまで試みられてきた、民主主義以外のすべての政治体制を除けばだが」と言ったように、民主主義は完全なものではありませんが、それより良い制度はないでしょう。

 民主主義は多様性とセットです。それが一番分かりやすいのはアメリカで、アメリカではアメリカ人かどうかより何系アメリカ人なのかのほうが大事ですね。さらに宗教も多様で分かれている。多様な人たちが同じ国で生きていれば必ず衝突が起きる。衝突する中でみんなが我慢しないといけませんが、その落としどころを探すためにも、民主主義はすごく重要です。

 ただ、日本人の持つ価値観もだんだん変わってきています。一生懸命仕事をして豊かな生活を手に入れるだけが幸せだと思う人は減ってきているし、別に日本で暮らさなくてもいいと思っている人もいる。一方でやっぱり昔と同じように上昇志向を持って働きたい人も存在する。日本人の中でも、ライフスタイルの多様化が進んでいます。

最近は日本で暮らす外国人も増えています。多様化が進むと日本でも民主主義がより重要になるということでしょうか。

真山氏:そう思います。しかし日本では政府より企業の柔軟性が高く、多様性による衝突を民主主義による解決ではなく、雇用や働き方で調整することになるかもしれません。もし企業に頼れず、社会制度自体が多様性を受け入れるように変わらなければだめだとなれば、民主主義に傾いていくことになると思います。

次ページ 民主主義は他人任せにしてはいけない制度