コロナ禍が収束すればインバウンドは戻ってくる

 スポーツを国民の心身の健康に寄与させるためには、収益を生む好循環をつくることは大切です。またコロナ禍が収束すれば日本にインバウンドが戻ってくるでしょう。日本には自然の雪が楽しめるスノーリゾートでのスキーや、豊かな海で楽しむスキューバダイビングなどの観光資源がある。日本ならではのスポーツ体験を知ってもらうために、様々なスポーツの国際大会を誘致してインバウンドに貢献することもできると見ています。素晴らしい自然のリソースがあるのに生かさない手はありませんから。

一方で国立競技場は維持管理費が年間24億円かかるなど、今後のスタジアム・アリーナ活用には課題も残っています。

室伏氏:これまでの競技施設は“する”スポーツなどを目的にしており、公的な競技場は都市部から離れた不便な場所に建てられていました。しかし、文化としてスポーツを地域に根付かせるには人が集まりやすく、つながりを生む場になる必要があります。そうしなければスポーツでの感動共有が幅広い層に広がらないからです。スポーツオープンイノベーションでも述べましたが、これからは民間事業者が入る柔軟なスタジアム・アリーナ計画が中心になるでしょう。

 先日、国立競技場や神宮球場、秩父宮ラグビー場が立ち並ぶ明治神宮外苑を散歩したのですが、聖徳記念絵画館などの文化施設もあり、歩いていて本当に気持ちのいい空間が広がっています。神宮外苑地区は建て替え計画がありますが、周辺一帯の環境にも配慮した素晴らしいスポーツクラスターとなるように、民間の知恵を借りながら再開発に取り組むことが重要だと思います。

 一方で、国立競技場は国を代表するスタジアムなので、国民の健康増進と収益モデルのバランスが欠かせません。これから国立競技場でプレーする人々が名勝負を繰り広げることで、スタジアムの歴史的価値は重みを増していきます。それが、スポーツを基にした文化となっていく。東京五輪は残念ながらコロナ禍で無観客開催となりましたが、今はスタジアムのフィールド展望なども開始しています。素晴らしいスタジアムなのでぜひ一度、見学してみてください。

この記事はシリーズ「ニッポンの活路」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。