経済活動を一変させた新型コロナウイルス禍がようやく収束に向かいはじめた。企業は改めてコロナ後の戦略を描き直すタイミングを迎えているが、その際に考慮すべきポイントはいったい何か。今までの延長線上では対応できない変化が起きている可能性がある。大手コンサルティング会社、ボストン コンサルティング グループで日本共同代表を務める内田有希昌氏、秋池玲子氏に聞いた。

コロナ禍後の事業環境について、どんな変化を認識すべきでしょうか。

内田有希昌・日本共同代表(以下、内田氏):まず、コロナ以前のノーマルに戻るという楽観的な見方はできないと考えています。かといって、ただニューノーマルになるだけ、という認識では環境を見誤ってしまうでしょう。ニューノーマルに加えて、ここ数年水面下で進んでいた資本主義の根幹の「揺らぎ」がコロナ禍により増幅し、2022年以降はより顕在化していくと想定しています。

 ニューノーマルのもとで、行動様式や価値観が変わってきています。リモートワークが浸透し、生活と仕事のバランスが変わったのがその一端ですが、これにともなって労働観自体が変わってきている方もいます。デジタル化の関連では、コロナ禍下では高齢者もeコマースを利用するようになり、その利便性がさらに幅広く認識されています。小売り・サービス業が店舗の位置づけを考え直すこともあるでしょう。

 資本主義の揺らぎが何によってもたらされているかというと、1つはカーボンニュートラルという課題が突き付けられていることです。これまでの経済活動は、サステナビリティーを念頭には置きつつも、二酸化炭素の排出はある程度容認され、お金さえ出せばいくらでもモノを買えるという、大量生産大量消費が前提とされていました。これを変えようという動きが、一挙に現実的になってきます。

<span class="fontBold">内田有希昌氏(うちだ・ゆきまさ)</span><br>三和銀行(現三菱UFJフィナンシャル・グループ)を経て、BCGジャパンの統括責任者、北東アジア統括責任者を務めたのち日本共同代表。金融、通信、ハイテク領域の企業を中心に、戦略策定、実行支援、組織改革等を支援する。東京大学文学部卒業。米カーネギーメロン大学経営学大学院修了。
内田有希昌氏(うちだ・ゆきまさ)
三和銀行(現三菱UFJフィナンシャル・グループ)を経て、BCGジャパンの統括責任者、北東アジア統括責任者を務めたのち日本共同代表。金融、通信、ハイテク領域の企業を中心に、戦略策定、実行支援、組織改革等を支援する。東京大学文学部卒業。米カーネギーメロン大学経営学大学院修了。

 もう一つは地政学的な問題です。例えば米中対立の影響で国境のハードルが上がる。以前なら関税は全体として引き下げられる傾向にあり、世界経済は一体化するだろうという前提がありましたが、今後、企業は場合によっては国境を強く意識しないと生き残れないことになります。これは特に製造業には非常に大きな影響を及ぼすため、従来の考え方を変えなければなりません。