アントレプレナーシップ(起業家精神)に乏しいニッポン――。政府は成長戦略で開業率(企業全体に占める新設企業の割合)を米国や英国並みの10%台に引き上げる目標を掲げるが、実態は5%にも満たず、企業の新陳代謝は進まない。スタートアップだけではなく大手企業の中でも新規事業が活発に生まれるためには何が必要なのか。米国の起業家教育の名門として知られ、トヨタ自動車の豊田章男社長も学んだバブソン大学(マサチューセッツ州)の山川恭弘准教授に話を聞いた。

現在、諸外国と比べ日本の起業家数は少ないとされます。起業を取り巻く環境に何が足りないのでしょうか。

山川恭弘准教授(以下、山川氏):起業活動を活発にするためには、プレーヤーやステークホルダーが個として強くなり、相互に活動を支援し、エコシステム(生態系)を作っていくことが必要です。それには6つの要素が関係しています。起業家、投資家、教育機関、大手企業、政府・政策、そしてコミュニティーです。

 まず、その主軸となる起業家。バブソン大と英ロンドン大学による共同調査「グローバル・アントレプレナーシップ・モニター」によると、起業活動指数は世界70カ国のうち日本はワースト3位。「起業のきっかけにつながるのではないか」といったことを認識する機会があまりなく、起業してやっていけるという自信も世界最低です。

 チャンスを見ていないし、失敗が怖くて何もできない。世界から見れば日本は便利でハイテクの国のイメージがありますが、起業家の質で見ると傷つきやすい姿が浮かび上がってきます。

<span class="fontBold">山川恭弘 (やまかわ やすひろ)氏</span><br />バブソン大学アントレプレナーシップ准教授。東京大学特任教授。ピーター・ドラッカー経営大学院にて経営学修士(MBA)課程修了、テキサス州立大学で国際経営学博士号(Ph.D.)取得。エネルギー業界で新規事業開発やスタートアップ設立の経験を持ち、複数のベンチャー企業の役員を務める。近著は『全米ナンバーワンビジネススクールで教える起業家の思考と実践術­­-あなたも世界を変える起業家になる』。バブソン大は米誌「U.S.ニュース・アンド・ワールド・リポート」がまとめる全米大学ランキングのアントレプレナーシップ部門で25年以上連続1位を獲得。
山川恭弘 (やまかわ やすひろ)氏
バブソン大学アントレプレナーシップ准教授。東京大学特任教授。ピーター・ドラッカー経営大学院にて経営学修士(MBA)課程修了、テキサス州立大学で国際経営学博士号(Ph.D.)取得。エネルギー業界で新規事業開発やスタートアップ設立の経験を持ち、複数のベンチャー企業の役員を務める。近著は『全米ナンバーワンビジネススクールで教える起業家の思考と実践術­­-あなたも世界を変える起業家になる』。バブソン大は米誌「U.S.ニュース・アンド・ワールド・リポート」がまとめる全米大学ランキングのアントレプレナーシップ部門で25年以上連続1位を獲得。

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