筑波大学在学中に独立行政法人情報処理推進機構(IPA)から「天才プログラマー」の認定を受けた登大遊氏。自らが開発したVPN(仮想プライベートネットワーク)サービス「SoftEther(ソフトイーサ)」で起業を果たしただけでなく、今ではIPAの産業サイバーセキュリティ技術研究室長、NTT東日本の特殊局員という肩書も持つ。スタートアップから大企業という幅広い組織に所属し、活躍する同氏に、日本のIT業界のあるべき姿を聞いた。

登 大遊[のぼり・だいゆう]氏
登 大遊[のぼり・だいゆう]氏
1984年兵庫県生まれ。2003年に筑波大学に入学し、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の03年度未踏ソフトウェア創造事業でVPN(仮想プライベートネットワーク)サービスの「SoftEther(ソフトイーサ)」を開発。スーパークリエータ認定を受ける。ソフトイーサを事業化し、代表取締役に就任。17年から筑波大学産学連携准教授を務めるほか、IPAの職員となり、産業サイバーセキュリティセンターサイバー技術研究室長に就任。20年からはNTT東日本でも「特殊局員」の肩書でサービス開発などに関わる。

ロシアのウクライナ侵攻後、登さんが中心となって運営している、政府の検閲用ファイアウオールを回避できる無償サービス「VPN Gate」が注目を浴びているそうですね。

ソフトイーサ代表取締役、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)サイバー技術研究室長、NTT東日本特殊局員の登大遊氏(以下、登氏):ロシア政府がTwitterやFacebookなどのSNSを遮断したことが影響しているようで、ロシアからの利用が以前の4~5倍に急増しています。市民はこういったコミュニケーション手段を利用したい一方で、戦争のせいで使えなくなって不便を感じている。そこでVPNなどの技術で、これまで通りの生活を継続しようとしているのではないかと思います。「VPN Gate」のことを紹介するロシア語の書き込みをTwitterでよく目にするようになりました。ロシア国内ではTwitterが遮断されていますから、恐らく国内で使える別のSNSサービスでも情報が拡散しているのではないでしょうか。

だとすると、ロシア国内でも西側諸国からの情報に接している人は一定数いるということですか。

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