日米金利差の拡大により、円安に歯止めがかからず、iPhoneなどの家電や、衣料品といった身の回りの輸入品の物価を押し上げている。賃金水準が長く低迷していることもあり、家計が圧迫されている。著名エコノミストの水野和夫・法政大学教授は、政府による円安誘導と、自己資本利益率(ROE)を重視する企業の経営に問題があるという。詳しく聞いた。

水野和夫(みずの・かずお)氏
水野和夫(みずの・かずお)氏
1953年、愛知県生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミストなどを経て、2016年から法政大学で経済学を教える(写真:都築 雅人)

円安が人々の暮らしを直撃しています。

水野和夫・法政大学教授(以下、水野氏):政府が約20年にわたって円安に誘導したことが苦しい家計の背景にあります。ドル円レートは2000年ごろから輸出物価基準の購買力平価に基づくレートから乖離(かいり)し、円安方向へと動きました。13年以降は当時の安倍政権が掲げたアベノミクスの一環で、日銀が異次元の金融緩和を進め、円安がさらに進行しました。

 政府は、低迷する日本経済を成長させるためにも円安に導いて、自動車をはじめとする輸出企業を後押しする必要があったのでしょう。また日本はエネルギーの多くを化石燃料に頼っています。外国から原油などを買うためにも、日本車を輸出してドルを稼ぐ必要がありました。

 円安は輸出企業に有利ですが、逆に消費者には不利です。弱い円で輸入品を高く買わされ、海外旅行にも行きにくくなりました。

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