中韓勢や新興国の台頭で低価格競争に巻き込まれている日本の製造業。デジタル化の動きもあってQCD(品質、コスト、納期)でもグローバルな競争力が低下している。だが、ものづくりの現場のノウハウや技術は日本になお強みが残っており、これらをソリューションとして販売すれば新たな収益基盤を確立できる可能性がある。こうしたデジタル時代の「ものづくりプラットフォーム戦略」を提唱するのが野村総合研究所の小宮昌人主任コンサルタント。戦略の内容を聞いた。

小宮昌人(こみや・まさひと)氏
小宮昌人(こみや・まさひと)氏
野村総合研究所・グローバル製造業コンサルティング部主任コンサルタント。2011年に慶応義塾大学卒業後、16年に野村総合研究所に入社。専門はデジタル技術を活用したビジネスモデルの変革、IoT・デジタルツイン・ロボティクスなどによる製造業支援。企業のコンサルティングだけでなく、国内外の官公庁などとの連携も積極的に推進している。32歳。(写真=加藤康、以下同)

開発から製造、サプライチェーンまで日本の製造業はまだ世界で戦える強さがあると説いています。具体的に何で勝負していくのでしょうか。

小宮昌人・野村総研主任コンサルタント(以下、小宮氏):標準的に決められた方式ではなく、各現場が自律的に考え、課題認識や知恵を出し合い、カイゼンを続けていく。そのボトムアップ型のモノづくりが日本の強さだ。

 強さを支えるのは「人」で、彼らの暗黙知や属人的な技術が生産性の向上や収益に力を発揮してきた。そうした現場の技術やノウハウ、「すり合わせ型」の工場オペレーションは、デジタル技術を使えば見える形で標準化できる。日本の製造業に残された道は、こうした「ものづくりのプラットフォーム」化にある。見える化・標準化して販売すれば新たな競争力になる。

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