コロナ禍で家にいる時間が長くなり、家庭内で身体的・精神的暴力を受けている被害者が一層追い詰められている。全国の警察が2020年に受けたドメスティックバイオレンス(DV)の相談件数は8万2643件、児童相談所が20年度に対応した虐待相談件数は20万5044件と、ともに過去最多になった。

 DVや児童虐待問題への理解が進むに伴って公的機関に相談する心理的ハードルは下がっており、毎年のように記録更新が続く。暴力が横行する家庭の多さは底知れない。

 「子育て優先の家づくり」というコンセプトを掲げ、家族が幸せに暮らせる家を約20年にわたり研究・施工してきた人物がいる。長崎で小さな工務店「小川の家」を営む小川勇人社長だ。どんな設計の家なら暴力のリスクを減らせるのかを探るべく、長崎のモデルルームで話を聞いた。

<span class="fontBold">小川 勇人(おがわ・はやと)氏</span><br>長崎の工務店「小川の家」社長。1973年長崎生まれ。ゼネコンや父が経営する工務店での勤務を経て、2007年から現職。2014年、長崎大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。写真は「小川の家」で施工している住宅の模型を掲げる様子
小川 勇人(おがわ・はやと)氏
長崎の工務店「小川の家」社長。1973年長崎生まれ。ゼネコンや父が経営する工務店での勤務を経て、2007年から現職。2014年、長崎大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。写真は「小川の家」で施工している住宅の模型を掲げる様子

配偶者などのパートナーや、子供に対する家庭内での暴力が増加の一途です。

小川勇人氏(以下、小川氏):家を建てようとしている人は、「家族みんなで笑って、健康的に暮らしたい」と口では言うけれども、実際に家づくりの場面になると、閉鎖的な空間を進んで選択しているように見受けられます。情緒不安定に陥りやすく、家庭内がギスギスして、身体的・精神的な暴力につながっていると考えています。

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