2021年はコロナ禍からの経済回復を追い風に、日本のM&A(合併・買収)の件数が過去最多を記録した。中でも注目を集めたパナソニックによる米ソフトウエアのブルーヨンダーの巨額買収と、米決済大手ペイパル・ホールディングスによるペイディの買収に助言したのが、国際的な法律事務所であるホワイト&ケースの東京オフィスだ。両案件は、今後のM&A市場の活性化の契機になり得る。同オフィスの宇佐神順代表パートナー弁護士に、22年のM&Aのトレンドについて聞いた。

<span class="fontBold">宇佐神順(うさみ・じゅん)氏</span><br />1966年生まれ、香川県出身。91年東京大学法学部卒業、96年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。01年に国際的な法律事務所、ポール・ヘイスティングス・ジャノフスキー・アンド・ウォーカーLLPに入所、09年、グローバル・パートナーに就任。11年にホワイト&ケースLLPに移籍し、東京オフィスのコーポレート/M&A部門共同代表となる。21年7月から東京オフィスのオフィスエグゼクティブパートナーを兼任(写真:陶山勉、以下同じ)
宇佐神順(うさみ・じゅん)氏
1966年生まれ、香川県出身。91年東京大学法学部卒業、96年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。01年に国際的な法律事務所、ポール・ヘイスティングス・ジャノフスキー・アンド・ウォーカーLLPに入所、09年、グローバル・パートナーに就任。11年にホワイト&ケースLLPに移籍し、東京オフィスのコーポレート/M&A部門共同代表となる。21年7月から東京オフィスのオフィスエグゼクティブパートナーを兼任(写真:陶山勉、以下同じ)

日本のM&Aが2021年に活況となるなか、ホワイト&ケース法律事務所はパナソニックによるブルーヨンダー買収、米ペイパルによる新興企業ペイディ買収という二つの大きな案件に関与しました。

宇佐神順ホワイト&ケース法律事務所代表パートナー弁護士(以下、宇佐神氏):いずれも買い手側の助言でした。08年のリーマン・ショック以降、海外展開を狙う日本企業が海外企業を買収する「アウトバウンドM&A」が増える流れが続いています。英調査会社マージャーマーケットによると、コロナ禍が襲った20年は前年比3割減の283件と減少しましたが、21年は9月末時点で既に420件と過去最高を記録しています。

 よく言われるのは、「日本市場だけではもう食っていけない」という点ですね。人口減少に伴って、海外市場に出ていかなければならない。海外市場でプレーヤーになることを目指したM&Aがここ10年間の流れだったでしょう。

 グローバルでも、アウトバウンドM&Aは活発です。デジタルトランスフォーメーション(DX)や脱炭素化に伴うエネルギートランスフォーメーション(EX)を見据えて、経営者が事業の再構築のためにM&Aを活用しています。また、プライベートエクイティ(PE)ファンドの動きも大きい。金融緩和でドライパウダー(待機資金)が膨らみ、PEファンドへのLP(有限責任パートナー)出資が集まっています。

 米英は、日本の件数が低迷した20年も、アウトバウンドM&Aは大きく減りませんでした。米国は19年の1654件に対し、20年は1532件。英国は19年の949件に対し、20年は906件となっています。日本企業は、コロナ禍で現地に行けないため、海外企業の買収に慎重になりました。コロナ禍という大きな環境変化の時に、機をつかむために動いたのか、コンサバティブになって様子を見たのか、ですね。

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