新型コロナウイルス禍で在宅勤務が恒常化し、暮らしを見つめなおす機会が増えている。海外には行けないが、足元の生活を豊かにしようと家に土間やサウナをつくるなど新たな楽しみを見つける人も。リノベるの山下智弘社長にニューノーマルの住まいづくりの潮流を聞いた。

<span class="fontBold">山下智弘(やました・ともひろ)氏</span><br>1997年近畿大学理工学部卒業後、実業団ラグビーチーム所属を経て98年専門商社に入社、ゼネコンなどへの出向を通じて数々のマンション建設に従事。その後デザイン事務所や前身となるリノベーション会社esの設立を経て2010年にリノベるを起業。20年に一般社団法人 LIVING TECH協会の代表理事に就任。
山下智弘(やました・ともひろ)氏
1997年近畿大学理工学部卒業後、実業団ラグビーチーム所属を経て98年専門商社に入社、ゼネコンなどへの出向を通じて数々のマンション建設に従事。その後デザイン事務所や前身となるリノベーション会社esの設立を経て2010年にリノベるを起業。20年に一般社団法人 LIVING TECH協会の代表理事に就任。

2020年に新型コロナウイルスの感染が拡大したことをきっかけに、人々の住まい選びの基準が変わりつつあります。コロナ禍でリノベーション需要は増えているのでしょうか。

山下智弘リノベる社長(以下、山下氏):新型コロナウイルスがまん延し、最初の緊急事態宣言が発令された頃は、「家を買っていいのか」という雰囲気になりました。それに伴いリノベーション需要は一瞬沈みましたが、その後反発しました。在宅勤務などで自宅にいる時間が増えるとマンネリ化してしまいます。「ウィズコロナ」で住まいをより快適にしたい、という要望が顕在化したのです。

 分かりやすい例だと、コロナ前に「自宅にワークスペースをつくりたい」という人は4割でしたが、コロナ後は8割に増えました。家の間取りをどう配すべきかなど、リノベーションへの関心も高まっています。当社の21年3月期売上高は前の期比3%増の75.2億円と、コロナ禍でもプラスとなりました。

 野村総合研究所(東京・千代田)の調査によると、30年の中古住宅流通量は15年比1.3倍の34万戸に増える見通しです。15年は中古住宅を購入した世帯の比率が3割程度でしたが、30年には5割近くまで上昇する予測です。中古住宅市場が活発化すればリノベーション需要はおのずと高まります。矢野経済研究所(東京・中野)によれば22年の住宅リフォーム市場は20年比6%増の6.9兆円に、30年には7.1兆円になる見込みです。

都心だと新築マンションは高すぎて、なかなか手が出せなくなっています。

山下氏:それも、中古住宅に注目が集まる背景です。20年の東京23区の新築マンション平均価格は7000万円超となっています。空前の低金利が続く中、住宅ローン減税や断熱リフォームに対する補助金など様々な優遇措置がとられていることも、中古不動産購入の後押しになっています。

 こうした経済的な背景に加え、リノベーションのような考え方が求められていることもあります。日本人は古いものを大切に使うDNAを持っています。にもかかわらず、不動産においては流通住宅の大部分を新築が占める「新築至上主義」が続いてきました。コロナ禍により、家で過ごす時間が長くなるにつれ、豊かな生活とは何かを考える時間ができました。新築の呪縛から解き放たれたとき、「家を買うために生活する」のではなく「生活を楽しむための家を買う」という本来の目的がクローズアップされてきたのでしょう。

家の在り方を再定義し、リノベーションする人が増えている
家の在り方を再定義し、リノベーションする人が増えている

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り3839文字 / 全文4993文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「ニッポンの活路」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。