新型コロナウイルスの感染拡大から3年目を迎えた日本。危機対応の時期は過ぎ、経営者はコロナ禍で浮き彫りになったデジタル化の遅れなど課題解決と事業の再構築に本格的に取り組むことになる。コロナ禍でも業績を伸ばし、2022年3月期に過去最高益を見込む伊藤忠商事の石井敬太社長COO(最高執行責任者)は、「企業の縦割りをデジタルと現場の力で打破する」と意気込む。

<span class="fontBold">石井 敬太(いしい・けいた)氏</span><br>1983年、早稲田大学法学部卒業、伊藤忠商事入社。「有機化学品第一部基礎原料課」からキャリアをスタートし、化学品業界を主に歩んできた。2018年にエネルギー・化学品カンパニープレジデント、20年に専務執行役員に就任、21年4月から社長執行役員COO(最高執行責任者)。学生時代はラグビーに取り組み、高校時代は全国大会出場経験がある。趣味は音楽鑑賞。ビートルズからジャズまで分野は幅広い。東京都出身、61歳。 (写真:陶山勉、以下同じ)
石井 敬太(いしい・けいた)氏
1983年、早稲田大学法学部卒業、伊藤忠商事入社。「有機化学品第一部基礎原料課」からキャリアをスタートし、化学品業界を主に歩んできた。2018年にエネルギー・化学品カンパニープレジデント、20年に専務執行役員に就任、21年4月から社長執行役員COO(最高執行責任者)。学生時代はラグビーに取り組み、高校時代は全国大会出場経験がある。趣味は音楽鑑賞。ビートルズからジャズまで分野は幅広い。東京都出身、61歳。 (写真:陶山勉、以下同じ)

コロナ禍でデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性が注目されています。

石井敬太・伊藤忠商事社長COO(以下、石井氏):コロナ禍でビジネスにデジタルを絡めていこうという「精神的環境整備」は整いました。企業の投資意欲は高く、商社のなかでもIT分野を手掛ける部門「情報・金融カンパニー」を持つ伊藤忠にとってチャンスは大きいと考えています。

 (9割超を出資する子会社のコンビニ大手)ファミリーマートは新たなコンビニ像を共創する「偉大なる実験場」です。(完全子会社の食品卸大手)日本アクセスと協力して進めている需要予測、多忙な店長の業務を支援する「AIバーチャルエージェント」、無人店舗などデジタルを実装したものを世に出し始めています。

 また、全く違った業界が協力して仕事に臨むとき、現場で蓄積したデータを分かりやすく示すことができれば、「縦割り組織」を動かす力になります。私も口酸っぱくして「縦文化をぶっ壊せ」と言っています。

伊藤忠でも縦割りは根強いのでしょうか。

石井氏:強いです。例えば、機械部門で手掛けている再生エネルギー事業と、エネルギー化学品部門でやっている再エネ事業をコラボさせようと人を集めたとしましょう。化学品の「背番号」がついた社員は、化学品部門の上司の顔色と、業績を気にします。結局、自分はいつか元の場所に戻ると思っているからです。機械部門も一緒です。

 お互い、会話はするけど、自分の出身地がチラチラと気になる。何年かたつと、元の部門から交代要員が来るのだから、融合しろといっても難しいんですよね。

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