最新テクノロジーを用いて身体機能などを高める「人間拡張」技術が、人間のあり方をも変えようとしている。「透明マント」などを手掛ける人間拡張工学研究の第一人者で、東京大学先端科学技術研究センターの稲見昌彦教授に、技術の未来と倫理的な課題について聞いた。

稲見教授が人間拡張技術に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。

稲見昌彦・東京大学先端科学技術研究センター教授(以下、稲見氏):私は運動が苦手で、少年時代に野球をするのが嫌でした。ゴロでも打てればいいのですが、出塁する方法は四球かデッドボールしかない。頭に浮かんだのは「あぁ、ドラえもんの道具があれば、活躍できるかもしれない」ということ。技術を使えばできないことが可能になるかもしれない、と思ったのです。

 人間拡張技術が進展すれば、身体的なスキルを伝達し、獲得できるようになるでしょう。例えば靴ひもの結び方や自転車の乗り方は、文字だけでは伝えにくいですよね。

「どうすれば自転車に乗れますか」と聞かれても、言葉だけでプロセスを説明するのは難しいですね。

稲見氏:これまでは、言葉や映像を使ってやり方を伝達せざるを得ませんでした。未来はこうした手段を使わずに、直接筋肉を刺激してノウハウを伝えられるかもしれません。(自転車をこぐ)動きがどの筋肉から始まるのかは、外から見ただけでは分かりませんから。

<span class="fontBold">稲見昌彦(いなみ・まさひこ)氏</span><br>東京大学先端科学技術研究センター教授。1999年、東京大学大学院工学系研究科博士後期課程修了。2005年、マサチューセッツ工科大学コンピュータ科学人工知能研究所客員科学者、15年より東京大学大学院情報理工学系研究科教授。16年4月より現職。東京都出身。
稲見昌彦(いなみ・まさひこ)氏
東京大学先端科学技術研究センター教授。1999年、東京大学大学院工学系研究科博士後期課程修了。2005年、マサチューセッツ工科大学コンピュータ科学人工知能研究所客員科学者、15年より東京大学大学院情報理工学系研究科教授。16年4月より現職。東京都出身。

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