「普通の子ども」とは「ロボット」である

沖田:私以外の子どもたちはみんな、ロボットっぽいなって。先生の言われたことが的確にできるから。「この子たちは優秀なロボットだから先生の言う通りにできるけど、私は人間だからしょうがないんだ」と思うようになりました。

小学校生活のなかで、自分と周りの子たちの捉え方が、「自分=タヌキの子:周り=人間の子」から、「自分=人間:周り=ロボット」に変わっていったということですね。

沖田:「人間だから、ミスもするよね」って。あとは、血液型のせいにしていましたね。私、B型なんですけど、「B型は、いい加減で楽天的」ということを耳にしてから、「そうか、これは血液型のせいか」と考えるようになったんです。血だから、仕方ないって。そんなふうに、学生時代は乗り切れたんですよね。本当の地獄を見たのは社会に出てからで。このころは、先生や親から手を出されて、鼻血なんか何回も出していましたけど、まだ余裕があった感じです。

最初に診断がついたのは、いつですか?

沖田:小学校4年生のときにLDだと言われました。でも、「LDって何? 学習障害って何? それ頭が悪いってこと?」と。親もそんな認識でした。確かに、成績にものすごく凹凸はあったんです。まあ、得意なものがあるといっても70点ぐらいなんですけど。そのときはまだ、文字の読み書きや計算能力に問題があるというふうには考えてなくて、頭が悪いから「覚えられない」んだと思っていました。

LDと言われても、それがどういうものかという認識はなかった、ということですね。30年以上も前の話ですから、当時、そんなに情報があったわけではないですよね。

沖田:そうなんです。私、富山県出身なんですけど、発達障害を扱う施設は、一番近くても福井県にしかなかったんです。少なくとも私の小学校の中では、女子で発達障害の子は1人もいなかった。頭の悪い子といったら不良っぽい子で、私のように真面目なのに頭が悪い子はいない。どうもわざとやってる感じではなさそうだけど、なぜだろうと。

周りも理由が分からない。

「怠けている?」それとも「耳が聞こえない?」

沖田:理由が分からないので、「怠けてる、だらしない」というのが、最初の評価になるんですが、そのうち「もしかしたら耳の聞こえ方がよくないんじゃないか」という話が出てきて、何度も何度も聴力の検査をさせられました。

「耳の聞こえが悪いから指示が伝わらないんじゃないか」ということですね。でも、聴力が悪いっていう結果は出ないわけですよね。

沖田:出ないんです。結局、「わざと聞かないんだね」という結論になる。

そうか。そうなっちゃうんですね。

沖田:私としたら「えーっ」て感じです。でも、そうなっちゃうんですよね。

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