「ノートを取れない理由」が伝わらない

振り返って、小学生のときに「先生がこうしてくれたらよかったのに」と思うことはありますか?

沖田:言うことを聞かせようと、思わないでほしかったですね。その子にはその子のペースのようなものがあって、同調圧力で「みんなに倣え」みたいなのは難しい。みんなと一緒に教室にいるのがきつくて、図書室や保健室のような「ちょっと落ち着いた場所」に「リヤカーで運んで置いていってほしい」と思っていました。

構われるよりは、放っておかれたほうがいい感じでしょうか?

沖田:そうです、そうです。構われてる理由が分からないので。ちょっとクールダウンしたいときは、よく自主的に図書室に行っていたんですけど、傍からは、どう見ても遊んでいるようにしか見えないんですよね。そのころは先生たちに発達障害に関する知識もありませんでしたし。

 だからどの先生が見ても、私は「ただ怠けているだけの生徒」なんですね。授業ではぼーっとしてるし、ノートも取らないし、話も聞いてないし、頭も悪い。そのくせ、口答えばっかりする。「何でノートを取らないんだ!」と言われて、「いや、鳥の声がうるさいんです」とか言って。でも、本当にうるさかったんです。

実際にそう聞こえるってことですよね。聴覚過敏もあったんですね。

沖田:そうなんです。「2階の生徒の声がうるさいです」とか言って。集中できない理由はたくさん言うことができるんですけど、先生はそういうことを求めていないじゃないですか。

そっか、そうですよね。先生から「ノートが取れない理由」を問われたときに、沖田さんはちゃんと「理由」を答えているのに、先生には口答えに聞こえてしまうんですね。

沖田:「そんなことを気にするからダメなんだ。ちゃんと目の前のことに集中しろ!」と言われるんですけど、私、シャープペンの芯や鉛筆が紙にこすれる音ですら気になって仕方がなくて。みんな、こんなやかましいなかでどうして真面目に勉強できるんだろうって。

小さいころは、みんな自分と同じだと思っているものですよね、きっと。

沖田:だから、こんなうるさいなかで集中できる周りの子たちが、信じられませんでした。

そんなクラスメイトたちのことを、どんなふうに見ていましたか?

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