なぜ、テストで計算機を使わせるべきか?

中邑:例えば、テスト。学校では普段、問題用紙を配ってテストをしますよね。それだと子どもたちは、問題を解く前に、問題を「読む」必要があって、読むのが苦手な子は不利になります。そこで、「今日のテストは先生が問題を読むよ」と、音読のサポートをつけてテストをします。音読のサポートがあるときだけ点数が上がる子がいたら、その子は「読み」に困難があるということがわかります。算数の計算も同じです。「今日のテストは電卓を使っていいよ」ということにしたときに成績が上がる子は、「計算」が苦手なんだということがわかる。

ちょっとした工夫で、特定の分野に苦手を持っている子を見つけることができるのですね。

中邑:子どもの答案を注意深く見るだけでも、わかることがあります。平仮名ばかりで書く子がいますから。それはやっぱり、書くのが苦手なんですね。そういった先生の注意や工夫によって、子どもの読み書きや計算の困難を見つける方法はいくらでもあるんです。

小学校低学年の先生の力が必要ということですね。発達性読み書き障害を研究する宇野彰先生は、読み書きの困難を見つけるタイミングとして重要なのは「小学校1年生の夏」だとおっしゃっていました(「発達障害と読み書き なぜ『小学1年生の夏』が大事なのか?」参照)。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り3627文字 / 全文6315文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「もっと教えて!「発達障害のリアル」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。