「発達障害のリアル」を、自身も発達障害(学習障害)の息子を育てるフリーランス編集者・ライターの私(黒坂真由子)が模索する本連載。

 前回(「実は発達障害児にメリットも 国連から中止要請の『特別支援教育』」)に続き、「大阪府立たまがわ高等支援学校」(以下「たまがわ」)の東野裕治校長のインタビューを、お届けする。「たまがわ」は、知的障害のある子のための「特別支援学校」で、発達障害の生徒も少なくない。

 就職に強い特別支援学校として知られる「たまがわ」。生徒たちの就職をサポートするため、どのような教育をしているのか。今回は写真をたっぷりと交えて、校内ツアーの形で紹介する。学びや育ちのヒントもたくさんある。

 「たまがわ」のような「障害児を分離した特別支援教育」には、今年9月、国連の障害者権利委員会が、日本政府に中止を要請し、波紋が広がった(この取材を実施したのは8月)。一方、現場では、特別支援教育のメリットに着目する保護者も増え、大きな変化が起きている。

前回のお話で、今は昔と違って、障害を持つ子が通う学校を選べるようになったとうかがいました。普通校に行ってもいいし、特別支援学校に行ってもいい。そうなると、普通校に生徒が集まって、特別支援学校に来る子がいなくなってしまいそうです。 

東野:それがそうでもないんです。「逆転現象」が起きることもあります。

逆転現象とは?

東野:障害の重い子が地元の普通校へ行き、軽い子が特別支援学校に入学してくるのです。

特別支援学校というのは、障害の程度が重い子どものための学校ですよね。そこに軽度の子が入学し、重度の子が普通校を選んでいるというのですか。

東野:はい。

東野裕治(ひがしの・ゆうじ)
東野裕治(ひがしの・ゆうじ)
大阪府立たまがわ高等支援学校校長。1962年生まれ、大阪府出身。大阪教育大学を卒業後、大阪府内の中学校で数学教師を14年間務めた後、大阪府立の特別支援学校へ転勤。肢体不自由と知的障害の特別支援学校をともに経験。大阪府教育委員会(現:大阪府教育庁)で首席指導主事、参事を務めた。府立支援学校の4校で校長職を務める(現在4校目)。(写真:大亀京助)

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