障害者の給与水準は「需給バランス」で変わる

鈴木:確かに平均をとれば一般雇用のほうが高いですよ。一般雇用にはあらゆるケースが含まれていて職種が多く、そのなかにはお給料をたくさん稼いでいる人たちがいます。

課長も、部長も含まれている。

鈴木:だから、一般雇用の集団と障害者雇用の集団をずっと遠くから見比べたとき、どちらの給料が高いかといえば、一般雇用となります。

 ただ、障害のある特定のAさんが一般雇用で働いた場合と障害者雇用で働いた場合を比べたらどうか? どちらが高いかは分かりません。もしかしたら障害者雇用のほうが高いかもしれません。実際、身体障害者はその傾向が顕著です。

それはなぜですか? 同じAさんであれば、一般雇用でも障害者雇用でも、パフォーマンスは変わらないはずですよね?

鈴木:簡単にいうと需要と供給の関係です。企業が身体障害者を求めているからです。

「身体障害者のほうが対応しやすい」という誤解

それは耳にしたことがあります。ある社長さんが、社内を車椅子で通れるよう環境を整備してしまえば、誰でも普通に働けるから楽なんだっておっしゃっていて。

鈴木:現実には、そんなことは嘘に近いんですけどね。そもそも車椅子の身体障害者自体が少ないですから。人工透析の人やHIVポジティブの人など、身体障害にもさまざまな人がいます。だから通路の整備だけでなく、さまざまな対応が必要になります。

 発達障害がある人たちが抱える課題は多様なので、採用した側には個別具体的な対応が求められます。それが面倒で「身体障害者を採用したい」と考える企業は多いのですが、実際には、身体障害者だから一律の対応でいいということもありません。

そのあたりもイメージが先行しているんですね。

鈴木:そうなんです。イメージ先行なんですが、現実問題として身体障害者は供給に対して需要が大きいんです。そうすると何が起こるか。当然「価格」が上がります。給料が上がるんです。

ああ、そういうことですか。

鈴木:これは私にとっては頭の痛いことです。「発達障害で手帳を持っていて、すごく仕事ができる人がいるんです」と採用を働きかけても「いや、うちの会社は身体障害の人を採る方針だから」となりやすい。身体障害者手帳を持つ人材は引き抜き合戦になっています。そんな理由から、同じパフォーマンスでも、一般雇用されるより、障害者雇用のほうが高い給料をもらえる逆転現象も起きています。

発達障害の場合は、どうでしょうか。一般雇用と障害者雇用、どちらのほうがお給料は高いのでしょうか?

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