発達障害の問題を、ライフハック(生活や仕事の質や効率を上げるための工夫や取り組み)で解決しようと提唱する借金玉さん。注意欠如・多動症(ADHD、Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)の診断を受けているが、自閉スペクトラム症(ASD、Autism Spectrum Disorder)的な症状も多分に持ち合わせているという。医者のアドバイスに納得できず、海外から薬やサプリメントを取り寄せ、怪しい民間療法を試すなど、試行錯誤の末にたどりついたのが、ライフハックの手法だった。

 インタビューするのは、自身も発達障害(学習障害)の息子を育てるフリーランス編集者・ライターの黒坂真由子。

発達障害からくる違和感を、最初に覚えたのはいつですか?

借金玉さん(以下、借金玉):ずっと違和感は抱えていました。物心ついたときからずっと、です。

 分からないんですよ。なぜ僕だけ、ちゃんとプリントを出せないのか。なぜ僕だけ、いろいろなことがうまくいかないのか。なぜ僕の言うことに、いつも皆が腹を立てるのか。親はなぜ、こんなに僕を怒るのか……。ただ、子どものころはそれをうまく言語化できなかったので、認識もできなかったわけです。

 僕は実際、小学校は半分も行っていませんし、中学校もやはり全然行けませんでした。高校はぎりぎりで卒業しました。中学校での生活は、発達障害児の典型です。いじめられ、けんかをし、暴れて。ただ僕はグレて不良になる方向に向かったので、まだましだったと思います。発達障害児にとって、グレられるって、結構救いなんですよ。

そうなんですか?

借金玉(しゃっきんだま)
借金玉(しゃっきんだま)
1985年、北海道生まれ。ADHD(注意欠如・多動症)と診断される。二次障害に双極性障害。幼少期から社会適応ができず不登校を繰り返すも、一念発起して早稲田大学に入学。卒業後、大手金融機関に就職。2年足らずで退職し、起業。経営を多角化するも事業破綻して2000万円の借金を抱えたことから、Twitterで「借金玉」を名乗るようになる。現在は不動産営業とライター・作家業をかけ持ちしている。著書に『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』(KADOKAWA)、『発達障害サバイバルガイド』(ダイヤモンド社)がある。

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