ASDは「暗黙のルール」が苦手
松本:マニュアルに明確に定められたルールを守ることについては、ASDの人に問題はない。けれども、言葉で示されない暗黙のルールは、ASDの人には理解しにくいんです。ですから僕ら特別支援に関わる者は、ASDの人に話をするとき、暗黙のルールを明示的なルールに変えます。
例えば、どういったことですか?
松本:「人は君の表情を見て、君の気持ちを判断します。ですから表情は、相手とのコミュニケーションをする上でとても重要です」ということなどですね。
そういうことを言葉にして、あらかじめ示しておくということですね。
松本:もちろん、それで全部できるようになるかというと、残念ながらそんなことはありません。例えば「お客様の表情を見て、お客様が納得されたようだったらこれをして」と言っても、「納得された表情」が分からない。
感情表現にフィルターがかかっている
松本:「僕らにはフィルターがある」と表現するASDの人もいます。彼の視点に立てば、相手の表情や視線は見えず、声だけが聞こえてくる。その声も、イントネーションなどで表現される感情的意味が、全部排除された形で聞こえてくる。
それでは相手の本来の意図を理解したり「適切な返答」をしたりするのは難しいですね。
松本:ASDの子どもとオンラインで話すときには、僕は「ジャガイモ君(下画面)」になるんです。こんな感じです。
これは……、目と口だけ? なぜ、こんなことを?

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