「何で?」と聞かないで

他に困ることはありますか?

沖田:ミスしたときに「何で?」と言われるのも困ります。その質問には、答えられない。

 ミスしたときの「何で?」には、怒りと疑問があって、両方が同時に来ちゃうと「責められている」ということしか理解できない。

 そもそも「何で?」なのかは、自分自身にも分からない。それが分からないから、私はいつも黙っちゃうんですね。「こっちが教えてほしい」という気持ちなんです。そのうち「わざとやったわけではないのに、ここまで言われるのは理不尽だ」という、逆ギレみたいな気持ちが入ってきて、むっとなってしまって、自分の非を認めにくくなるんです。

別にわざとやっているわけではないし、一生懸命やった結果が望んだものと違う形になってしまう、ということもありますもんね。

沖田:何かの結果に対して責められているときには、自分の言い分もありますが、「何かが間違っていた」ということは分かります。ただ、「どうしてこうなったか」ということに対しては多分、答えられない。

「なぜ間違ったんだ」と理由を聞くより、「ここが間違ったから、こうして」という指示のほうがいいということですね。

沖田:それに加えて、「間違ったことで引き起こされた影響」も、言ったほうがいいと思います。「今朝あなたが電話をしなかったから、今、取引先の人はこんなふうに困っている」というように。「ミスをした」という自覚を持たせる、ということでしょうか。

ミスの「原因」ではなく、「内容」と「影響」を理解してもらう。

沖田:その上で、「もう二度と同じミスはしない」といった話し合いができればいいですけど……。きっとすごく難しいですよね。

確かに難しいかもしれませんが、上司や同僚を含めて、一緒に働く人の頭に、そういった「伝え方のマニュアル」が入っていれば、一緒にできることも増えると思います。

 それを知らないから、こちらも「何で?」と言っちゃうんです。私も学習障害がある息子に対して、「何で書けないの?」と言っては、ギャン泣きされるというのを、1年ぐらい繰り返していたので。「何で?」って、つい言っちゃうんですよね。

沖田:分かります。うちの親もたぶん100万回ぐらい言っていると思うので。

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