「風俗2年で、3000万円稼ぐ!」

沖田:でも、ひもが切れてしまって死ねなかった。死ねなかったことで逆にちょっと落ち着くことができました。そこで考え直して、どこか誰も私のことを知らない場所で、人生をやり直そうと決めたんです。

 名古屋の風俗は稼げるという話を聞いて、23歳で名古屋に引っ越しました。「25歳までの2年間、風俗で頑張って3000万円稼ごう」と決めました。目標を決めて達成できたら、ちょっとは自信が持てるだろうと思ったんです。その後は北陸に戻って、もう1回看護師をやろうかなとか、そのときは病院より、老人ホームとかのほうがマイペースで働けていいかな、などと漠然と考えていました。風俗で稼いだお金でマンションを買えば、とりあえず普通に暮らせるかなって。

目標は達成したんですか?

沖田:しました。名古屋にいたときは稼ぎがよかっただけじゃなくて、人生で一番、お金を使わなかったんです。風俗で働く子って、ホストに貢いだりする子も結構いるんですけど、ちょうどそのとき、私には好きな女の子がいて、その子と同棲していたんですね。だから、外でお金を使うことがなくて。

 朝起きたら、すぐママチャリに乗って風俗店に行って、夜の11時に仕事を終えたらママチャリで家に帰る、という生活をしていました。服も制服があったし、稼いだお金はとにかく貯金して、将来、その彼女と一緒に住めたらいいな、なんて考えていました。

 その後、今の旦那(漫画家の桜壱バーゲン氏)と知り合う機会があったんです。風俗をやめるタイミングで、相手の離婚が成立して、「東京で一緒に住まないか」って。このまま地元に帰って看護師を細々とやるか、この漫画家という自由な人について東京に行くか。そのときは、漫画家になろうとは思ってなかったので、どうしようかと迷いました。でも、結局、旦那について東京に出てきたおかげで、漫画を描く機会もいただけて。本当によかったです。漫画家は天職だと感じているので。

服薬していた時期があるとうかがいました。いつごろからですか?

沖田:2018年ですね。

4年前。何かきっかけがあったのですか?

沖田:突然、死にたくなっちゃったんです。

<span class="fontBold">沖田×華(おきた ばっか)</span><br />1979年、富山県生まれ。小中学生のころに、学習障害(LD*1)、注意欠如・多動症(ADHD*2)、アスペルガー症候群(*3)と診断される。高校の衛生看護科を卒業後、看護学校に進み、正看護師として勤務。名古屋で風俗嬢として働いた後上京し、『漫画アクション』(双葉社)の新人賞に応募、選外奨励賞を獲得し2005年デビュー。『毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で』(ぶんか社)など著書多数。『透明なゆりかご ー 産婦人科医院 看護師見習い日記』(講談社)にて、2018年「第42回講談社漫画賞(少女部門)」受賞。本作はNHKでドラマ化され、「第73回文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門」にて大賞を受賞。ペンネームの由来は「起きたばっかり」(写真:栗原克己)
沖田×華(おきた ばっか)
1979年、富山県生まれ。小中学生のころに、学習障害(LD*1)、注意欠如・多動症(ADHD*2)、アスペルガー症候群(*3)と診断される。高校の衛生看護科を卒業後、看護学校に進み、正看護師として勤務。名古屋で風俗嬢として働いた後上京し、『漫画アクション』(双葉社)の新人賞に応募、選外奨励賞を獲得し2005年デビュー。『毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で』(ぶんか社)など著書多数。『透明なゆりかご ー 産婦人科医院 看護師見習い日記』(講談社)にて、2018年「第42回講談社漫画賞(少女部門)」受賞。本作はNHKでドラマ化され、「第73回文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門」にて大賞を受賞。ペンネームの由来は「起きたばっかり」(写真:栗原克己)

次ページ 朝5時、マンション最上階まで駆け上がってロング缶