「発達障害」という言葉がよく使われるようになった。
「もしかして、うちの子も発達障害?」「あの同僚は、もしかして?」「もしかしたら私も?」――そんな思いが頭をよぎった経験のある方も少なくないだろう。
けれど、「発達障害」とは、そもそも何? 本連載では、注目を集めながらも理解しにくい「発達障害」の世界を、できるかぎり平易に、正しく紹介していきたい。
取材、執筆を担当するのは、自らも発達障害(学習障害)の息子を持つフリーランス編集者・ライターの黒坂真由子。「当事者家族として七転八倒しつつも、専門家ではない素人」として、専門家やさまざまな立場に立つ当事者に、素朴な疑問をぶつけていく。
シリーズ
もっと教えて!「発達障害のリアル」

36回
-
子どもを安易に発達障害と診断していないか? 大学進学の選択肢を
発達障害の診断が、子どもたちに安易に下されていないか。そのために自信を失わせていないか。投薬が安易になされていないか――。"ブーム"の功罪を、東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍教授が語る。
-
不登校といじめの裏に発達障害 なぜ「IQ130」を喜べないのか?
急増する不登校の原因は、発達障害にある――。こう指摘するのは、東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍氏。いじめも、実は、文字の読み書きが苦手など、学習上の困難が原因で起きていることが多いという。
-
発達障害の子はイノベーションの担い手? 「家出」を教える理由
発達障害者に「イノベーションの担い手」を期待すべきなのか? 東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍氏に話を聞く。「異才発掘」を狙って話題を集めたプロジェクト「ROCKET(ロケット)」の反省とは?
-
発達障害は「脳の少数派」 生きづらさは消えないが、小さくはなる
40歳で発達障害の診断を受けた大学准教授の横道誠さん。生きづらさと向き合うなかでたどりついたのが「ニューロダイバーシティー」。発達障害を「脳の少数派」としてとらえることで、生きやすくなったと語ります。
-
発達障害の私たちは猫に似てるが愛されない。「自助」が要る理由
40歳で発達障害の診断を受けた大学准教授の横道誠さん。病院の診療は3分で終わり、薬の効果も限定的。「公助」に頼っていられないと、「自助グループ」を積極的に展開しています。自助グループの活動を解説。
-
発達障害を持って生きるのは、エヴァンゲリオンの操縦と似ている
40歳で発達障害の診断を受けた大学准教授の横道誠さん。「発達障害を持って生きることは、エヴァンゲリオンの操縦と似ている」と話す。「擬態」や「伏線回収」など「発達界隈の流行語」を使って、自身の内面を解説。
-
発達障害の子どもは本当に増えている? 特別支援が急増する理由
障害児を対象とする「特別支援教育」を選ぶ子どもが急増、10年で約2倍になった。発達障害の増加が主因だ。なぜ特別支援教育が人気なのか、発達障害児は本当に増えているのか。特別支援学校の現役校長に尋ねた。
-
発達障害児も集まる「面倒見のいい学校」 必修科目は清掃と販売
発達障害の子どもの教育はどうあるべきか。特別支援学校の教育を写真で紹介する。国連は今年、日本政府に「障害児を分離した特別支援教育」の中止を要請したが、むしろメリットを感じる保護者も多い。なぜか?
-
実は発達障害児にメリットも 国連が中止要請の「特別支援教育」
発達障害児の選択肢になる「特別支援教育」。国連は今年9月、日本政府に「障害児を分離した特別支援教育」の中止を要請したが、メリットを感じる保護者も多い。特別支援学校の現役の校長先生に実態を尋ねた。
-
発達障害と進路 読むスピードが遅ければ「試験時間を1.3倍に延長」
「知能に問題がない」のに「読み書きに極端な困難がある」という発達性読み書き障害。自信を失っている子どもに、専門家はまず「頭が悪いんじゃない」と伝えるという。発達障害とともに幸せに生きる方法を考える。
-
読み書きが苦手な発達障害 子どもたちが問う「板書を写す意味」
日本人の7~8%が該当するという「発達性読み書き障害」。障害がある子どものため、試験問題の漢字にルビを振ったり、入学試験の試験時間延長を認めたりするなど、教育現場では対応が進みつつある。最前線を伝える。
-
発達障害と読み書き なぜ「小学1年生の夏」が大事なのか?
「知能に問題がないのに、読み書きが困難」という「発達性読み書き障害」。日本人の7~8%が該当しますが、気づきにくい障害です。どうしたら気づけるのか。苦手なりに文字を習得していくには、どうしたらいいのか。
-
「読み書き」が苦手な発達障害 問題は「聞く脳」にあるかも?
知能に問題はないが、読み書きが著しく苦手な「発達性読み書き障害」。日本人の7~8%が当てはまるというが、なぜ、そんなことが起きるのか? 「英語のLとRの聞き分け」に似た問題があると専門家は指摘する。
-
読み書きが苦手な「発達障害」はクラスに3人 知能と違う課題
知能には問題がなく、読み書きが苦手な「発達性読み書き障害」。日本人の7~8%が該当し、40人クラスならば、3人くらいいる計算だが、気づかずに苦労している人が多い。なぜ、このような障害が存在するのか?
-
発達障害と知的障害 「頑張る人を応援する」ではダメな理由
発達障害や知的障害の子どもには配慮が求められるが、配慮しすぎるのも考えもの。トレーニング次第で伸びる能力なら、配慮しすぎず、頑張らせてみよう。『ケーキの切れない非行少年たち』著者からの問題提起。
-
発達障害と知的障害 なぜ軽度知的障害者が冤罪にされるのか?
「発達障害に知的障害が伴うかどうかで、対応策は全く変わる」と指摘するのは、『ケーキの切れない非行少年たち』の著者、宮口幸治氏。「気付かれない軽度知的障害」は最悪の場合、冤罪事件につながる。なぜか?
-
発達障害と知的障害 「IQ70以上」が生きづらいのはなぜか?
「発達障害に知的障害が伴うかどうかで、対応策は変わる」と指摘するのは、『ケーキの切れない非行少年たち』などの著作で知られる宮口幸治氏。「気づかれない境界知能と軽度知的障害」について問題提起する。
-
あなたの職場にも発達障害 「1時間に1回の指示」を薦める理由
発達障害者は、あなたの上司や同僚、部下のなかにきっといる。発達障害の就労支援を手掛ける専門家は、こう断言する。真面目で個性的な発達障害の社員の存在は、周囲の社員の人間的成長を促すと提言する。
-
発達障害者にとって外資系企業が意外に働きやすいのはなぜか?
発達障害の人が自分にまったく合わない仕事に就き、精神的に大きなダメージを受けるケースは多い。自己理解が苦手で、歪んだ夢を抱きやすいからだと、専門家は語る。職業体験を通じて「諦める」ことも大事だという。
-
なぜ「発達障害で障害者手帳を取ることに損はない」のか?
発達障害の人が就労を考えたとき、無視できないのが「障害者手帳」。発達障害で障害者手帳は取れるのか? 取ることにメリットはあるのか? 給与や待遇はどうなるの? 切実な疑問を専門家にぶつけた。
WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
おすすめのシリーズ
-
小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
-
徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
-
クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
-
不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
-
菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
-
1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
-
10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
-
河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
-
ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
-
大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
-
グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
-
フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
-
ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
-
テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
-
70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回