サントリーホールディングス・新浪剛史社長の「45歳定年制」発言が物議を醸すなど、コロナ禍で働き方が見直されつつある今、目標が見えず将来に不安を持つビジネスパーソンが増えている。多くの人たちが働きがいを感じられないのは、「これまでのキャリアの常識や方法論が新たな時代にフィットしていないため」と人材育成コンサルタントの片岡裕司氏は分析する。ポストコロナ時代のキャリアの新たな常識とは。イキイキ働き続ける人の共通点とは。「やりたいこと」を発見し、実現するための「キャリア実験」とは。『「目標が持てない時代」のキャリアデザイン』(日本経済新聞出版)を刊行した片岡氏、共著者の阿由葉隆氏が解説する。

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キャリアを充実させるために必要なことは?

 「キャリアを充実させるために必要なことは?」。こう聞かれたらなんと答えますか。専門的な資格を取る、社会人大学院で勉強する、社内で異動する、転職する……などを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

 確かにそれらも重要です。しかし、ポストコロナはせっかく手に入れた専門性や環境が目の前から急になくなってしまうような不安定な時代です。何かを獲得しても、それを失う確率が高い。失うものが大きくなればなるほど不安になってしまいます。

 連載の第1回でお話ししたように、不安定な社会で安定を求めることは、逆に不安定をもたらすのです。

 では、この不安定で不確実な時代に楽しくキャリアを切り開くにはどうすればいいのか。それを知るために、今回、私たちはキャリアをイキイキと充実させている方に聞き取り調査を行いました。年代も職種も性別も異なる方々でしたが、皆さんある1つの共通点を持っていました。

 ゴールはぼんやりしたものがいい

 キャリアを楽しく切り開いている人の共通点、それは「最終ゴールを明確に描いていない」ということです。

 驚かれる方も多いでしょう。キャリア研修では「ビジョンづくり」が大事と言われることも多いのですから。

 しかし、私たちがお話をうかがった皆さんは、しっかりと目を見開き、目の前の興味・関心に向き合い、ぼんやりと見える自分なりのゴールに向かって前進していました。そして皆さん、はっきり見えない中でも前に進むことを楽しんでいます。

 さらに聞き取り調査でうかがった話を分析するうちに、共通する4つのサイクルの存在にも気がついたのです。

著者紹介

片岡裕司(かたおか・ゆうじ)
ジェイフィール 取締役コンサルタント、多摩大学大学院客員教授、日本女子大学非常勤講師、一般社団法人Future Center Alliance Japan理事
アサヒビール、同社関連会社でのコンサルティング経験を経て独立。ジェイフィール立ち上げに参画し現在に至る。組織変革プロジェクトや研修講師を担当。
著書に『なんとかしたい! 「ベテラン社員」がイキイキ動き出すマネジメント』、共著に『週イチ・30分の習慣でよみがえる職場』(いずれも日本経済新聞出版)などがある。

著者紹介

阿由葉隆(あゆは・たかし)
ジェイフィール コンサルタント、国家資格キャリアコンサルタント
外資系人材サービス企業営業支店長、アウトソーシングサービス部門の立ち上げ、運用部門長などを経て、2017年にジェイフィールへ参画し現在に至る。人材育成・組織変革プロジェクト、研修ファシリテーターを担当。
続きを読む 2/4  新時代のキャリアデザイン。4つのサイクル

この記事はシリーズ「ポストコロナ時代のキャリア新常識(ニューノーマル)」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。