SNSは相性が大切

お店や小さな会社がSNSや動画を始める際の注意点はありますか。

竹内:SNSも動画も、実際に手掛ける人との相性が合うかどうかが大切です。まずプライベートでやってみて向いているSNSを見つけ、ビジネスで使ってみることです。

 新著で取り上げた例では、高知市の「すしバル うますし」はインスタグラム、岐阜県大野町のメガネ店「スマイル・アイ・タクティカル」はツイッター、横浜市の書店「有隣堂」はユーチューブで情報発信しています。

 「どのSNSを使ったらいいですか?」とよく聞かれるのですが、私は「好きなSNSを使ってください」と答えるようにしています。自分自身が日常的に使用しているSNSを利用したほうが、ユーザーの気持ちを汲(く)み取ることができ、必然的に読み込んでくれる投稿ができるようになります。お客さんから反応があると、投稿しているほうも楽しくなるので、コンスタントに情報発信をするようになります。

 スマイル・アイ・タクティカルの村木昇さんは、ツイッターの他にフェイスブックやユーチューブなど、様々なSNSを運営しています。でも、いろいろやってみた結果、やっぱりツイッターが一番性に合っていると言っていました。

高齢者はユーチューブの音声を聞いている

竹内:面白い話があります。東京都江戸川区にある二本松眼科病院の平松類先生のユーチューブチャンネルは、65歳以上の視聴者が4割を超え、高齢者に大人気です。テレビ局の改編で一時ほどは高齢者向けの健康番組ばかりでなくなり、緑内障や白内障の情報を求めて平松類先生のユーチューブを見たことをきっかけに、病院を訪れる患者さんが増えているそうです。

 ユーチューブに高齢者が集まる理由は「動画」ではなく「音声」です。目が悪くなってくると、新聞や雑誌記事、インターネットのブログも読みづらくなってきます。だから、ユーチューブの音声を聞いているのだそうです。

 この話を聞いたとき、衝撃を受けました。言われてみたら、音声が聞き取りづらい動画は見るのをやめてしまいます。私もユーチューブの動画チャンネル「竹内謙礼のビジネスゼミ」を持っているのですが、平松先生の話を聞いてから、マイクの性能を上げて、音声だけはクオリティーを上げるようにしました。

 まだ始めて1年しか経(た)っておらず、登録者数も1500人弱、一番多い再生回数の動画でも4000回ほどしかありませんが、試行錯誤を繰り返しながら、動画というメディアを勉強しているところです。ユーチューブを見て「こんな変わった経営コンサルタントがいるんだな」と、興味を持ってもらえればうれしく思います。


小さな会社・お店がコロナ禍に生き残る秘訣!!
超ユニークな事例満載

コロナ禍で消えた店や会社には、
コロナ不況以前にも、何かしらの問題があった。
脆弱な財務、「なんとなくの経営」、
市場の変化に対応できないビジネスモデル――。
一方で、生き残っている店や会社は、
目の前で起きた困難にすばやく対処しただけではなく、
もともとあった危機意識の積み重ねによって
改善をし続けてきたのである。 (本文より)


日経MJの450回以上の長期連載「竹内謙礼の顧客をキャッチ」の取材をもとに、小さな会社や店舗、中堅企業の逆風下における戦い方を示す。


竹内謙礼著 日本経済新聞出版

目次
第1章 コロナに勝つ会社、コロナで消える会社
第2章 業界セオリーをひっくり返し、逆境に打ち勝った「非常識戦略」
第3章 逆境の中でもトコトン楽しんでもらう「エンタメ戦略」
第4章 ナナメの発想で生き残る「新アイデア戦略」
第5章 コロナ禍の新消費動向に対応する次世代戦略
第6章 コミュニケーションの質を極める「ネット新戦略」

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。

この記事はシリーズ「逆境下でも小さな会社・お店が生き残る法」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。