長らく日本のゲーム業界をけん引してきたカプコン。「ストリートファイターⅡ」や「バイオハザード」など、世界でも人気のあるコンテンツを抱え、映画化などコンテンツのマルチユースを先んじて実践してきた。そんなカプコンは今、スマホ化や無料化が進むゲーム業界の潮流と一歩距離を置き、「PC(パソコン)ゲーム」を中核に据える戦略を掲げる。独自の勝ち筋について、辻本春弘社長COO(最高執行責任者)に聞いた。

1964年、大阪府生まれ。大学在学中よりアルバイトとしてカプコンで働き始め、87年、大学卒業後にカプコン入社。当時の新規事業だったアミューズメント施設運営事業の立ち上げに参加し、業界ナンバーワンの高収益ビジネスモデルの確立に貢献。1997年には取締役に就任し、以後は家庭用ゲームソフト事業の強化に注力。99年常務、2001年専務などを経て、06年に副社長執行役員。07年創業者である父・辻本憲三・現会長兼最高経営責任者(CEO)から社長職を引き継ぎ、現在に至る。(写真は的野弘路)
家庭用ゲームは、テレビにつなぐ据え置き型や携帯型のゲーム専用機によって浸透してきました。ここ数年はその様相が大きく変わっています。どのように見ていますか。
辻本春弘・カプコン社長COO(以下、辻本氏):米アップルの「iPhone」が発売されて十数年。それまでの携帯電話でもゲームはできたわけですが、スマホの登場によってパソコン(PC)と同等くらいの機能が搭載されている汎用機が出てきました。アップルのiOSだけでなく、Androidという汎用型のOSも登場したことで、ゲームを楽しむ環境がグローバルベースで爆発的に広がっていきました。
通信インフラ環境もどんどん改善していき、先進国では5G(高速通信規格)によるサービスも始まりつつあります。コンソール(ゲーム専用機)もインターネットへの常時接続が当たり前になり、ネットワークを使って楽しむことを意識したゲーム作りに移ってきています。
スマホ対応したゲーム会社が一気にユーザーを増やしています。
辻本氏:新興国の人たちがスマホを持つことでゲーム人口は一気に増え、市場も拡大しています。ただ、私はスマホの先を見ています。
スマホシフトではなく、スマホの先。
辻本氏:そうです。新興国では生活必需品としてまずスマホを手にする人が多いでしょう。コンソールも大事ですが、次に来るのはPCだとにらんでいます。
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