今年4月、ニンテンドースイッチ向けに異色のゲームが発売されて話題になった。タイトルは「スーパー野田ゲーPARTY」。16本(発売時)のゲームがセットになり、価格は税込み1000円。店頭でのパッケージ販売はせずダウンロード専用だが、販売数は約8万のヒット作となった。

 開発したのは、お笑い芸人の野田クリスタルさん。自作ゲームを用いた一人芸で2020年の「R-1ぐらんぷり」を制した実力の持ち主だ。野田さんの才能にほれ込んだゲームクリエーターの後藤裕之氏が声をかけ、少人数・低予算で開発する「インディーゲーム」として作られたのが「野田ゲー」だ。

 発売後には、バグ(プログラムミスによる不具合)が多く見つかった。ゲーム会社が多額の資金を投じて開発するメジャータイトルでは考えられない「ダメさ」も、野田ゲーの味だ。芸風と同様に破天荒な内容のゲームの人気は高まり、既に第2弾の開発が動き出している。かつて発売するゲームソフトを厳格に管理してきた任天堂が、バグも多いゲームの発売を許容した点も話題となっている。

 野田さんは独学でプログラミングを身に付け、クラウドファンディングで資金を集めてゲーム発売にこぎ着けた。誰しもがゲームを作れる。それを証明して見せた野田さんに、ゲーム開発への思いと今後の野望を聞いた。

<span class="fontBold">野田クリスタルさん</span><br />1986年11月生まれ、34歳。2007年にお笑いコンビ「マヂカルラブリー」を結成。2020年に「R-1ぐらんぷり」「M-1グランプリ」優勝。「キングオブコント2021」は決勝進出が確定。芸人史上初の3冠を狙う。独学でプログラミングを習得し、「野田ゲー」と呼ばれるオリジナルゲームを開発。クラウドファンディングで資金を調達しニンテンドースイッチ向けのゲーム「スーパー野田ゲーPARTY」を開発し、2021年4月に発売した。現在第2弾「スーパー野田ゲーWORLD」の開発に向けてクラウドファンディングを実施中。(写真=的野弘路)
野田クリスタルさん
1986年11月生まれ、34歳。2007年にお笑いコンビ「マヂカルラブリー」を結成。2020年に「R-1ぐらんぷり」「M-1グランプリ」優勝。「キングオブコント2021」は決勝進出が確定。芸人史上初の3冠を狙う。独学でプログラミングを習得し、「野田ゲー」と呼ばれるオリジナルゲームを開発。クラウドファンディングで資金を調達しニンテンドースイッチ向けのゲーム「スーパー野田ゲーPARTY」を開発し、2021年4月に発売した。現在第2弾「スーパー野田ゲーWORLD」の開発に向けてクラウドファンディングを実施中。(写真=的野弘路)

野田さんが「総監督」という立場で制作したゲーム、「スーパー野田ゲーPARTY」、私もダウンロードしてやってみました。16あるゲームのうち、「凄六(すごろく)」はゴールまでのマス目が6兆個あるとか。設定からして破天荒ですね。

野田クリスタル氏(以下、野田氏):ゲームってルールが決まっているからこそ成り立つじゃないですか。でも、そのルールを壊したら面白いんじゃないかなって。すごろくでゴールが死ぬほど遠いとか。

4月に発売した「スーパー野田ゲーPARTY」
4月に発売した「スーパー野田ゲーPARTY」

何かこう、ネタを作っている感覚に近いですか? オチを考えてから逆算するみたいな。

野田氏:ないことはないですね。何で「将棋」ってあんなに流行ったのにⅡ(ツー)がないんだろうって。だったら作ってみようとか。野田ゲーの「将棋Ⅱ」では駒の種類が200以上あって、図柄もめちゃくちゃ。王将は1局ごとにランダムに設定されるので、どれが王将なのか分からない。普通の将棋とは全く違って駒の動きも分からないから、突然負けちゃうこともある。そんな理不尽さも楽しんでもらいたいです。

200種類以上の駒があり、どれが王将かすら分からない「将棋Ⅱ」
200種類以上の駒があり、どれが王将かすら分からない「将棋Ⅱ」
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低品質のゲーム(クソゲー)が乱立すれば顧客離れが加速するとして、任天堂はかつて、自社のハードで遊べるゲームソフトをしっかりと管理してきました。今はインディーゲーム市場の開拓にも力を注ぎ、個人がニンテンドースイッチ向けにソフトを発売できるようになりました。

野田氏:任天堂さんが許してくれるなんて、「まさか」ですよね。「スーパー野田ゲーPARTY」というタイトルは、「スーパーマ〇オPARTY」とそっくりですからね。よく怒られないなと思いますよ。

 もともと子供の頃からゲームが好きだったのですが、遊びながらずっと自分のゲームがあったらいいなと思っていたんです。だって男なら、いつかは自分のゲームって作りたいじゃないですか。

そ、そうですね。

野田氏:ただ、ニンテンドースイッチでみんなが俺の作ったゲームで遊んでいるというのは……本当にまさか、ですよね。

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