未来のスキルは、現在のAIの能力では実現が難しい、人間らしい「ソーシャルインテリジェンス」などを評価することを意図して設計されている。その結果、1位には「戦略的学習」、2位には「心理学」が挙げられる結果となった。しかし、実際にそれらのスキルが何を意味するかは少し分かりにくい。そこで、筆者はオズボーン教授のアドバイスを受け、実際の仕事の現場の中で、未来のスキルをより分かりやすく評価する質問表を以下のように独自に開発してみた。
これならば、「未来のスキル」がどんな感じなのかイメージが湧くはずだ。眺めて見ると一つ一つが、とても人間らしいスキルであり、より人間らしくなることができれば、未来のスキルは向上する。逆に言えば、機械のように働くなと言ってよいかもしれない。
未来のスキルは、本当に役立つのか?
それでは、オズボーン教授の「未来のスキル」を身に付けると、本当にデジタルイノベーターになれるのだろうか? この問題を検証するためは「未来のスキルが向上したら、イノベーターとしての能力が向上する」という結果になることを確かめてみる必要がある。そこで、筆者らはイノベーターの評価に著作『イノベーションのジレンマ』で世界的に有名な経営学者、クレイトン・クリステンセン氏の理論を活用し、未来のスキルと比較してみることにした。
具体的なプロセスは以下の通り。まず、筆者以外の人間が、クリステンセンの理論を参考にイノベーターを評価する質問表を独自に開発。次に、10点満点中8点以上をイノベーターとして定義。そして、最後に、未来のスキルのデータからイノベーターかどうかを予測するという問題をAIに解かせるというわけだ。いやはや、何とも大胆な問題設定、まさに、真夏の夜の大冒険だ。
なお、イノベーターの評価には、クリステンセンの著書『イノベーションのDNA 破壊的イノベーターの5つのスキル』から、「①ネットワーク力、②関連づける力、③質問力、④観察力傾聴力、⑤実験力」などの5つのスキルを抽出して評価している。
これらの5つのスキルは、スティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾスなど数千人分のイノベーターを分析した結果、彼らがどのように創造的なアイデアや事業戦略を生み出したのかを5つのスキルにまとめたものだ。今回、同書を参考にしたアセスメントの設計は、外資系の組織開発で有名な人材系企業で役員を務め、この手のアセスメント開発を経験した人物が担当している。
オズボーン vs クリステンセン。その結果は?
では、実験結果はどうなっただろう。なんと実験の結果、オズボーン流の未来のスキルの質問結果から、85%の確率でクリステンセン風のイノベーターかどうかを予測することができたのである。

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