2030年ごろの社会を先取りした「まるごと未来都市」の実現を目指す国の「スーパーシティ」構想。4月までに応募した31の自治体グループ全てに再提案を求めるなど、選定プロセスが混乱しつつある(前回の記事:漂流し始めた「スーパーシティ」構想、すれ違う国と自治体)。スーパーシティを提唱した竹中平蔵・慶応義塾大学名誉教授は現状をどう見るのか。

スーパーシティ構想には全国で31グループが応募したものの、全計画が再提出になりました。

竹中平蔵氏(以下、竹中氏):要するに私たちが当初描いていた「まるごと未来都市」とは、やっぱりまだ乖離(かいり)があるわけですよね。まるごと未来都市になるように、ハンズオンで一緒になって修正していこうというのが今の段階ですね。

 31グループのどこも可能性はあると思います。ただ、今までのスマートシティにちょっと毛の生えたような案も散見される。もっとレベルの高いものを提案してほしい。やっぱり世界が注目するようなものじゃないと駄目だと思うんですよね。

慶応義塾大学名誉教授。1996年慶大教授。経済財政政策担当相や金融担当相、総務相などを歴任した。(写真:古立 康三)
慶応義塾大学名誉教授。1996年慶大教授。経済財政政策担当相や金融担当相、総務相などを歴任した。(写真:古立 康三)

スーパーシティを「30年ごろの未来社会を先取りする」と説明してきました。どのような未来のイメージなのでしょうか。

竹中氏:そこは、いろんな未来感があっていいと、私は思うんですよね。そこも競ってほしい。

 大阪はスーパーシティの提案をしていますけど、東京はまだ出してないでしょ。いろいろ計画はしているはずなんですよ。他の都市も含めてどんどん出してもらいたいですよね。ただし、志の高いものを出してほしい。

スーパーシティという言葉の生みの親とされています。「スーパー」に込めた意味は。

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