国の「スーパーシティ」構想が漂流し始めた。スーパーシティの選定に関する国の専門調査会が8月6日、応募した31の自治体グループ全てに再提案を求めることを決めたのだ。抜本的な規制緩和の提案を求める国と、地域課題の解決を重視する自治体とのすれ違いが「まるごと未来都市」の実現を遠ざけつつある。

2020年10月、国家戦略特区諮問会議に出席した坂本哲志地方創生相(中央)。この時点では2021年春ごろに指定区域を選定する計画だった(写真:共同通信)
2020年10月、国家戦略特区諮問会議に出席した坂本哲志地方創生相(中央)。この時点では2021年春ごろに指定区域を選定する計画だった(写真:共同通信)

 「全くの想定外。具体的な方向性が示されないとあっては、どうしようもない」(某県幹部)、「計画が大幅に変わってしまうかもしれない」(応募した市の担当者)──。国の「スーパーシティ」構想に応募していた31の自治体グループ全てが再提案を求められることになった。

 「規制改革の規模が小さかったり、本当に住民合意を必要とする改革ではなかったりといった問題を抱えていた」。提案について各自治体からヒアリングした国家戦略特区ワーキンググループの座長を務める八田達夫・アジア成長研究所理事長は、8月6日の専門調査会でこう述べ、自治体に再検討を促した。

 ワーキンググループがまとめた講評にも「大胆な規制緩和の提案が乏しかった」「補助金申請と混同している印象のものが少なくなかった」といった辛口の評価が並ぶ。

 事前にヒアリングを受けていた自治体にとっては寝耳に水だった。スーパーシティに応募した自治体を抱える県の幹部は憤りを隠さない。「6月の時点で、夏といわれていた決定がずれ込むことは折り込み済みだった。ただ、それはコロナ対応や総選挙との兼ね合いだと思っていた。ヒアリングの後、3カ月近くもたなざらしにして、揚げ句の果てに全員出し直しとは。本当にばかにした話だ」

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 自治体に与えられた再考の期間は2カ月ほど。内容を見直して10月15日までに再提案するか、スーパーシティ指定を諦めるかという判断を迫られている。

中国の「雄安新区」に刺激され

 そもそも「スーパーシティ」とは何なのか。

 その起源を考える上で欠かせないのが中国の雄安新区だ。習近平国家主席の肝煎りで、ハイテク都市をほぼゼロからつくり上げる計画を17年4月にぶち上げた。50年には1000万人もの人口を抱える見通しとしている。

 成長著しい中国における野心的な計画は政府高官や財界人、学識者らの一部を大いに刺激した。都市国家シンガポールもスマート化に力を入れている。国内の都市が競争力を落とす一方で、政府の強い指導力を背景に各国でハイテク都市が続々と誕生しようとしている状況は脅威に映った。

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