元サッカー日本代表であり、現在も現役選手。その傍らで、指導者、経営者、投資家、監督の顔も持つ本田圭佑氏。様々な立場を経験し、今の本田氏が貫いている「上に立つ者の理想像」とは。『Makuake式「売れる」の新法則』の著者である「Makuake」の共同創業者・坊垣佳奈氏が、投資家として消費の変化に関わる中で見えてきた組織のあり方について、本田氏に話を聞いた。

<span class="fontBold">本田圭佑(ほんだ・けいすけ)</span><br />1986年6月13日生まれ。大阪府摂津市出身。ガンバ大阪ジュニアユース、星稜高校を経て2005年に名古屋グランパスエイトに加入。その後プロサッカー選手として国内および世界各地で活躍。選手以外の活動も精力的に行い、サッカースクールを運営するほかプロサッカークラブのオーナーも務める。2018年にはカンボジア代表のGM・監督に就任した
本田圭佑(ほんだ・けいすけ)
1986年6月13日生まれ。大阪府摂津市出身。ガンバ大阪ジュニアユース、星稜高校を経て2005年に名古屋グランパスエイトに加入。その後プロサッカー選手として国内および世界各地で活躍。選手以外の活動も精力的に行い、サッカースクールを運営するほかプロサッカークラブのオーナーも務める。2018年にはカンボジア代表のGM・監督に就任した

本田さんは世界中を回られています。海外におけるクラウドファンディング市場について教えてください。

本田圭佑(以下、本田):日本以外だと、米国や中国などのアーリーアダプター層が使っています。クラウドファンディングは米国で生まれたものですよね。日本で広がったのは、東日本大震災がきっかけでしょう。

 現在は日本でもクラウドファンディングが認知されてきましたが、そうはいってもユーザーはまだまだ少数派です。これから拡大の余地が多く残されていると思います。

 私自身、Makuakeに投資した立場ですが、すごいスピードで伸びていく姿を見て驚きました。

 不思議な成功体験でした。サッカーの場合、自分で筋トレしてダッシュしてキックの練習をして、本番の試合に出ます。それで活躍してすごいと言われても、「だって練習しているからね」という話です。でも投資って、実際に会社を運営しているメンバーと、資金だけ入れさせてもらっている僕がいる。アスリートの僕からすると「こんなにいい思いをしていいんですか?」と感じました。

 現場の方々は大変なのだろうと思います。表立っていない、血のにじむような努力があるのだろうと推察しています。

ビジネスもスポーツも、組織のメカニズムは同じ

経営者としてビジネスにも関わっています。ビジネスにおけるいいチームと、スポーツにおけるいいチームの共通点はありますか?

本田:管理職と監督、部下と選手、それぞれの役割があって、マネジメントによってパフォーマンスが変わってくるメカニズムはほぼ同じです。

 違いがあるとすれば、サッカーのようなシンプルなスポーツは90分の短期決戦。しかしビジネスは長い時間をかけるものです。さらに、オフの時間でも起きている間はずっと頭のどこかでビジネスのことを考えていますよね。時間に対する感覚や使い方が違うと思います。

ビジネス上で大事にしていることは?

本田:いいメンバーと仕事をすることです。この考えは何年も前から変わっていません。具体的に言うと、経営者として人を育てる、コミュニケーションを大事にするなどですね。この軸は、サッカーをするときと変わらないです。監督をしているときも、経営者としても、大事にしています。

 僕はプレーヤーのとき、よい指導者の理想像を持っていました。よい指導者・よくない指導者を自分の中で明確に意識し、「自分がマネジャーや監督だったらどうするか」を常に考えながら選手としてプレーしてきました。だから、自分が監督や経営者になった今、その理想像を貫いています。

どのような理想像なのでしょうか?

本田:監督としても経営者としても、自由と責任をうまく共存させるのが理想です。ガチガチに管理せずに、個々人をプロとして扱うようにしています。

 これは部活あるあるなんですが、3年生が引退すると、頼りなかった2年生がしっかりします。そして、引退した3年生が久しぶりに部活に顔を出しにきたときに、「あいつがあんなにリーダーシップを発揮してるの!?」って、大きく成長した姿に驚くんです。これと同じで、やらなあかん状況にさせて、高い基準を求めたら、途中で失敗を繰り返してしまうかもしれないけれど、成長する速度は上がります。

 僕は教育者でもあるので、メンバーの成長を待てるんです。経営者の多くは、過程での失敗に目を向けがちのような感じがしています。

成長を待っている間に会社が傾いてしまうということを危惧している人もいます。

(写真=的野弘路)
(写真=的野弘路)

本田:リスクをコントロールすれば大丈夫だと思っています。会社の存続に大きく関わるようなことは、プロフェッショナルではない人材に任せないでしょう。その人が持っている資質を踏まえて、タスクを任せます。失敗してもいい業務を任せながら、プロフェッショナルとしての成果を求めたり、自由を与えたりします。

 偉そうに言っていますが、僕にとってもこれは理想です。でも、貫きたいじゃないですか。ここまで話してきたことの完成形が、僕にとって超かっこいい経営者の理想像です。

 サッカーの世界は自由ですが厳しいです。大きな契約を結んでも、途中でケガをして試合に出られなくなったら、翌年はクビになります。結果を出せない自分の責任ですから、当たり前ですよね。だから、自由な分、それだけ責任が伴うので、ものすごいプレッシャーです。

 そう考えると、自由じゃないほうがいい、管理されたいという人もいると思います。

選手にも部下にも、詳細に伝えることが大事

本田:ただ、伝えることが大事だと思うんです。マネジメントの仕方は人それぞれなので、何も説明してくれない経営者だとしても、社員がその経営者のことが好きで、頑張れているのであれば、それが正解かもしれません。もしそうだとしても、僕は伝える派に一票です。

 サッカーでもよくあります。監督が選手にある練習をするよう指示を出すとします。何のためにそれをやるのか、練習の詳細まで伝えないと、選手は何となく取り組んでしまうんです。詳細まで伝えたほうが練習は楽しいし、効果が上がります。

 やっぱり人は1対1で詳細まで伝えないと、本質的なことは分からないと思います。

構成=梶塚美帆(ミアキス)

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