今、企業はSDGsへの取り組みやサステナブルな活動を強く求められている。しかし、本質的な取り組みができている企業はどれだけあるだろうか。『Makuake式「売れる」の新法則』の著者であるマクアケ共同創業者の坊垣佳奈氏が、ファッションブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS」を立ち上げたマリエに話を聞く。

<span class="fontBold">マリエ</span><br>モデル・タレント・アパレルブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS(パスカル マリエ デマレ)」デザイナー。10歳からモデル活動を始め、タレントとしても活躍。2011年に米国の名門校パーソンズ美術大学に留学し、ファッションについて学ぶ。2017年に自身のブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS」を立ち上げた。現在は、モデル・タレント活動を続けながら、ファッション、エシカル、サステナブルについて精力的に情報を発信している。2020年には環境省森里川海アンバサダーに就任。(写真=村田 和聡)
マリエ
モデル・タレント・アパレルブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS(パスカル マリエ デマレ)」デザイナー。10歳からモデル活動を始め、タレントとしても活躍。2011年に米国の名門校パーソンズ美術大学に留学し、ファッションについて学ぶ。2017年に自身のブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS」を立ち上げた。現在は、モデル・タレント活動を続けながら、ファッション、エシカル、サステナブルについて精力的に情報を発信している。2020年には環境省森里川海アンバサダーに就任。(写真=村田 和聡)

パーソンズ美術大学で学ばれていました。米国のほうがSDGsの考え方が進んでいるのでしょうか。

マリエ:そんなことはないです。教授から「自分の欲しいものは作るな」と言われてショックを受けたことがあります。つまり、ファッションが好きで自分の欲しいものを作るのではなく、大量生産型のデザイナーにならないと職がない、ということです。

 教授が言っている意味も分かりますが、すごく悔しくて。みんながそう思ったら、ファッションから個性やアイデンティティーが消えてしまうと感じました。パーソンズ美術大学はニューヨークにあるからか、考え方が商業的なのかもしれません。

 もともと、SDGsに興味はあったのですが、サステナブルやエシカルな考えが本当に大事だと実感したのは23歳の時です。

 当時、私はパーソンズ美術大学に留学し、動けないぐらい体調を崩していました。そんな中で、オーガニックライフに出会ったり、デザイナーたちのサステナブルな活動を見たりして、少しずつ自分を取り戻していきました。

今は、とても好きなことをやれている

 健康に戻るまで5年から6年かかりました。体が思うように動くようになっていく中で、私がこうして楽しく過ごせているのは日本のファンの人たちのおかげだと気付いたんです。ファンの人たちに対して、感謝の気持ちと共に、明日を生きるヒントになるようなことを伝えたいと考えるようになりました。

 たどり着いたのがファッションでメッセージを伝えるということでした。だから今は、とても好きなことをやれています。

毛織物の端材を使ったラグを作るプロジェクトを立ち上げていますね。

マリエ:生地としては一級品でも、活用できずに捨てられていた端材を使ってラグをつくっています。服や帽子、カバンもつくっていますが、刺しゅうをインドの18歳以下の女の子にお願いしています。何か手に職をつけるサポートができればと思い、NPO団体を通してミシンを購入できるプログラムに参加したり、雇用を生んだりしています。

 ほかにも、現在、制作の一部を長野県松本市にある少年院の子どもたちに関わってもらっています。私たちの商品は一つひとつの柄が違うので、従来のやり方では量産できないんです。今は簡単な作業工程をお願いしていますが、今後はミシンを使って手でつくっていく作業もお願いできたらと考えています。

 私たちにどこまでサポートできるのか分かりません。でも、少年院にお金をお支払いして、さらに彼らが少年院から出たときに、裁縫の技術が役立ったらいいなと思っています。

 「マリエさんはSDGsの何番をやっているんですか」ってよく聞かれるんです。でも、基本的に全部やってないとヤバいでしょう。「何番をやってます」と言えるほうがおかしいと感じています。

(写真=村田 和聡)
(写真=村田 和聡)

これまで企業は、利益追求の資本主義で、負を生んでも利益を生めばよかったのだと思います。ただ、本来は負を生み出さないモノづくりや事業があるべき姿だと思っています。この辺についてはどうお考えですか?

マリエ:私は利益を追求することが悪いとは思っていないんです。最近お話させていただいた商社の方は、みんな「サステナブルが次の利益になる」と話しています。商社がそう言っているなら、きっと素晴らしい未来が来るんじゃないかとワクワクしているんです。

 「グリーンウォッシュ(編集部注:環境に配慮しているように見せかけて、環境意識の高い消費者に誤解を与えること)」という言葉があります。しかし、私はたとえグリーンウォッシュだとしても、多くの人がサステナブルを意識するきっかけになるんだったら何でもいいと考えています。

 もちろん、グリーンウォッシュはよくないですよ。でも、みんながサステナブルを心がける生き方に向かう途中で、そういう間違いは起こるものだと思います。

 SDGsに関しては、トライ&エラーをしていくのがいいのかなと私は思います。SDGsを知らなくても、ちょっと調べてみよう、本を1冊買ってみようって、みんなが一歩踏み込むところまできていると感じます。

若い世代に広がる危機感と恐怖感

若い世代を中心にこれだけSDGsが受け入れられているのはなぜだと思いますか?

マリエ:危機感や恐怖感があるからではないでしょうか。石油がなくなる、未知の病気が出てくる、地球に住めなくなる……そうならないために何とかしなくてはと考えて、興味が湧いているのではないでしょうか。

(写真=村田 和聡)
(写真=村田 和聡)

 もちろん放っておかなかった大人世代もいると思います。でも、「上の人たちが何もしなかったからこうなったんだ」という漠然とした悲しみも相まった感情を抱えているのでしょう。そして、行動に起こして未来を変えるなら、若い人たちがギリギリ間に合う世代なんだと思います。

 「環境がヤバい」と言ってるだけではなく、自分たちに何ができるんだろう? とみんなが考え始めたのではないでしょうか。やっとそこまで来たんです。素晴らしいことですね。

構成=梶塚美帆(ミアキス)

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