コロナによる経営不振により、対人接触を伴う宿泊・飲食・生活関連サービス・娯楽の「コロナ対人4業種」では、中小企業の債務が返済困難なレベルにまで積み上がりつつある。このままいけば、これらの企業がゾンビ企業化して「日本の失われた20年」再来の恐れがある。
 こうした返済困難な企業に関しては、経営者のハッピーリタイアの道筋をつけて、産業再編の呼び水としてはどうだろうか。これは日本全体の競争力強化とともに、人手不足解消のための雇用移動のきっかけとなり、日本再生のチャンスになる。『コロナ制圧 その先の盛衰』(日本経済新聞出版)の著者、梅屋真一郎氏による寄稿第3弾。

「ゼロ・コロナ」が続く中国からのインバウンド客は期待薄

 感染力の高いインド型(デルタ型)の登場を受けて、多くの国々の出口戦略は「ワクチン接種促進」「医療体制整備」「ある程度の行動規制」の3点セットに収れんしつつあることを、第1回(気づけば世界の先頭を走っていた日本のコロナ対策)で紹介した。これは、厳しいロックダウンや入国者の厳格な隔離を行うことによって感染者をゼロにする、いわゆる「ゼロ・コロナ」戦略が持続困難になったことを、各国が認識したからに他ならない。

 「ゼロ・コロナ」戦略で国内の感染を抑えたとしても、世界的なパンデミック(世界的大流行)が続く限り、いったん国境を開ければ「ゼロ・コロナ」は簡単に崩れてしまう。結局は「ウイルスとの共存」以外に道はないのである。

 民主主義諸国を中心にこのような戦略変更が行われる一方で、中国だけはかたくなに「ゼロ・コロナ」戦略を続けている。もちろん、そのおかげで感染拡大当初のような感染者や死者が急増する事態は起きていない。

 ところが、その中国でも強い感染力を持つデルタ型は大きな影響を及ぼし、地域単位でロックダウンなどが起きている。「ゼロ・コロナ」による感染鎮静化は中国国民からも強い支持があり、今になって「ゼロ・コロナ」から「ウイルスとの共存」に変更するには、政治的なコストが極めて高くなっている。

 実際に著名な専門家が「ゼロ・コロナ」からの移行に言及しただけで、社会的に厳しい糾弾に直面する事態となっている。中国でもワクチン接種は進んでいるが、東南アジアなどの事例を見る限り、デルタ型に対する感染・重症化予防効果は必ずしも高くない可能性がある。結局、中国は、パンデミックが続く間は「ゼロ・コロナ」を続けるしかない。

 今後も中国が「ゼロ・コロナ」に固執し続けたとすると、中国と外国との人の往来は長期にわたり厳しく制限されるだろう。その間、ビジネスでの往来はひとまずおくとしても観光客の往来は絶望的になる。いくら中国人が海外旅行をしたくても、帰国した時に長期間隔離されるようでは尻込みしてしまう。

 すなわち、「当面の間、中国からのインバウンド客はやって来ない」。そして、そのことはインバウンド客の落とす年間数兆円の受け皿となっていた、宿泊や小売り、飲食などの日本国内の産業に対し、長きにわたる影響を及ぼすと考えられる。

続きを読む 2/3 新型コロナが直撃した「コロナ対人4業種」

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