コロナ危機が終わった後には、かつてない人手不足が日本を襲う。感染対策で対人サービス業を中心に生産性の低下が発生しており、その影響から2030年には1047万人もの人手不足となる可能性がある。これだけの人手不足解決は、小手先の対応では間に合わない。突破口は①女性のさらなる活躍と②生産性の抜本向上である。そのいずれにも社会全体のデジタル化を通じた「無駄」の排除が必要になる。9月に発足したデジタル庁は、この「無駄」排除の陣頭指揮をとり、社会全体の生産性向上に寄与することで、日本再生のカギを握っている。『コロナ制圧 その先の盛衰』(日本経済新聞出版)の著者、梅屋真一郎氏の寄稿第2弾。

コロナが浮き彫りにした日本の「残念な」脆弱性

 「マスクも給付金も届かない日本」。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う社会経済の大混乱は、今まで見過ごしてきた日本社会の脆弱性を改めて認識する大きなきっかけとなった。世界第3位の経済大国として総額233.9兆円にも及ぶ巨額の対策予算を準備しながらも、布マスクひとつ配るのにも手間取る政府の対応は、感染の不安や社会経済活動の低迷に打ちのめされている国民の失望を呼んだことは記憶に新しい。

 何も政府だけが悪いのではない。民間企業の実情も決して褒められたものではなかった。20年4月の緊急事態宣言発令を受けて、「オフィス勤務者の7割減」を目指したテレワークの推進が行われたが、宣言対象の7都府県のテレワーク実施率は38%にとどまった(パーソル総合研究所調べ)。米Google社の提供する携帯電話の位置情報を使って米英と比較しても、日本は「職場訪問者数=出社率」が高い(図表1)。

米英より出社率が高い日本
米英より出社率が高い日本

 その理由の一例は、「押印手続きの処理」や「郵送されてくる月末締めの請求書処理」などの業務であり、日本企業の仕組みがいかに旧態依然たるかが明らかになった。

 そして、雇用の面でも日本社会の残念な脆弱性が浮かび上がった。コロナの影響による経営状況の悪化の中で、企業は「女性活躍」といった言葉で持ち上げていた女性、特にパートやアルバイトなどの非正規職女性の雇用が減ったのである。内閣府男女共同参画局の調査によれば、雇用の不安定状況は女性に対するドメスティック・バイオレンス(DV)や性暴力などの被害も増やしている。女性を雇用の調整弁に使ったといわれても仕方がない状況になっている。

 政府、企業、社会、様々な面における脆弱性を今後どう変えていくか、日本の将来はその点にかかっていると言ってもよい。

続きを読む 2/3 日本の人手不足はコロナ後に一層深刻に

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