インド型(デルタ型)がまん延する中で、これまで強力なロックダウンを対応策の柱に置いてきたワクチン接種先行国の多くは、接種者の重症化リスクが低いことと、デルタ型の感染力が強いことから、社会的規制を緩めながらも、医療体制を整備し、ワクチン接種者比率をさらに高める「コロナとの共存策」に舵(かじ)を切り始めている。実は日本がとってきた対応策はそれに近く、ある意味日本のコロナ対策は世界の先頭を走っていたと言える。『コロナ制圧 その先の盛衰』を出版した野村総合研究所の梅屋真一郎氏が、新型コロナ対策と出口戦略を語る。

欧米諸国の出口戦略に変化

 2020年春以降、世界中に広がった新型コロナウイルスの脅威に対抗するために、各国はそれぞれ独自の対応を行ってきた。ある国は国境を厳格に閉じて海外からのウイルスの侵入を国境で食い止め、ある国は罰則や強制を含むロックダウン(都市封鎖)を長期にわたって実施することで感染の鎮静化を目指した。

 欧米を中心に米ファイザーや米モデルナのmRNAワクチンや英アストラゼネカのベクターウイルスワクチンなど、有効性の高い新しいタイプのワクチンを、「ゲームチェンジャー」として積極的に接種した国も多かった。ワクチン接種先行国では実際に感染が大きく減少し、社会経済活動の正常化が進んだ。

 一方、日本では、欧米のような厳格なロックダウンとは大きく異なり、緊急事態宣言による外出自粛は「お願い」ベースであった。ワクチン接種も先行国に比べて数カ月程度の時間差があった(図表1)。結果として、社会経済活動の正常化には程遠い状態がだらだらと続いた。私たちは、ロックダウン解除でお祭り状態となっている接種先行国のニュースをうらやまし気に見ながら、「コロナ敗戦」「ワクチン敗戦」といった言葉で、ますます気が滅入(めい)るという悪循環に陥っている。

ワクチン接種先行国の後を追う日本
ワクチン接種先行国の後を追う日本

 ところが、そのような状況で新たな「ゲームチェンジャー」であるデルタ型が出現した。接種先行国では一旦収束するかに見えた新規感染者が再び増加し、またぞろマスク着用の義務化が行われるといったニュースも目にするようになった。これまで厳格に国境を閉鎖し、ロックダウンを続けてきた国々でも、デルタ型の感染が広がっている。

 そのような中で、欧米諸国を中心にコロナ危機からの出口戦略に変化が現れつつある。そして奇妙なことに、ある一定の出口戦略に収れんしつつあるのだ。それはどういうことなのだろうか。

続きを読む 2/3 デルタ型で局面が一変

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