デルタ型で局面が一変

 7月末、各国のコロナ対策担当者に衝撃が走った。米国のメディアが、米国政府のコロナ対策の司令塔であるCDC(米疾病対策センター)の内部文書をスクープしたのだ(その後CDCは内部文書の存在を認めた)。この内部文書によれば、デルタ型は従来のコロナウイルスの2倍程度の感染力を持ち、その感染力は水ぼうそうと同程度の可能性があるという。その意味は大きい。デルタ型にこのような強い感染力があるとすれば、ワクチン接種のみではいわゆる「集団免疫」の実現が非常に難しくなるからだ。

 デルタ型が登場する前は、有効性の高いワクチンの接種を進めることによって、一定以上の接種率になれば、未接種者も含めて社会全体がコロナウイルス感染の脅威から守られる「集団免疫」を実現できるという期待が、各国のコロナ対策の根底にあった。

 ところが、集団免疫が実現できないとなると、「行動規制を解除すれば、未接種者はいずれ感染する可能性がある」こととなる。それを防ぐためには、世界的なコロナウイルスの流行が収まるまで、ロックダウンや国境封鎖を続けなければならない。そして、その期間は数年から10年程度と多くの専門家が予想しており、現実には持続するのは困難である。

 つまり、①未接種者には今後も感染リスクが長く存在し、②感染した未接種者は一定の比率で病状が悪化し、入院の可能性がある、のである。

 一方、mRNAワクチンやベクターウイルスワクチンなど有効性の高い新しいタイプのワクチンは、デルタ型に対しても感染予防や入院・重症化を防ぐ効果が高いことがはっきりした。日本の厚生労働省のデータによれば、未接種者と2回接種完了者では人口当たりの新規陽性者数は17倍もの差がある。また、米国のサラソタ記念病院では未接種者と接種完了者の重症化率の違いをわかりやすく紹介している(図表2)。

ワクチン接種者の入院率・重症化率は極めて低い
ワクチン接種者の入院率・重症化率は極めて低い

 結果として、こうした事実は、各国の出口戦略をほぼ同じものに収れんさせている。

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