「ワード、エクセルのみ」からAI開発も可能に
会社の提供する研修や学びの場をうまく使いながら、新たなキャリアを見いだす人も社出てきている。
SOMPOホールディングスの事業会社にあたる損害保険ジャパンで働く神庭豊さんもその一人だ。神庭さんは中国地方の保険金支払いサービスを担当しており、同社が提供する「損保ジャパン大学」という専門的な知識を学べる講座を利用した。これまではワードやエクセルなどしか使えなかったが、今では簡単なプログラミングもできるという。
「今後は保険商品の企画だけではなく、開発やデジタル人材の育成にも携わりたい」と神庭さんは語る。デジタル初心者からどのようにスキルを身につけていったかを伝える社内向け講座で講師役も務めている。

早稲田大学の白木三秀教授は「変化に対応できる人の資質にはやる気やチームプレーなどが挙げられるだろうが、継続して学ぶ姿勢が最も重要だ」と話す。
これまでは会社にとって必要なスキルを学んでもらい、部署間や地域間の異動で社内のキャリアを積ませることが、企業にとっては社員をやめさせない一つの方法でもあった。だが、終身雇用の制度は崩れ、同業他社だけではなく異業種間での競争に企業はさらされている。また、デジタルスキルに必要なプログラミング言語はオープン化され、多くのツールや手段など無料で解放されているものも多い。そうした中、社内の人材が変わりゆく市場とミスマッチを起こしていれば、会社の事業を変革することは難しい。
連載でみたように「個」としてスキルを見つけようと奮闘する働く人々が増えている中、転換を迫られる企業は何を提供できるのか。経済の停滞が続く日本社会において、自ら学び、殻を破る力を会社で身に付けられる。そんな企業にこそ、人材は集まるのかもしれない。
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