ビズリーチ・リスキリング調査(個人編)

 一方、個人の危機感はかなり強い。ビズリーチが今年10月、会員1126人に対して実施した調査によれば、リスキリングの必要性を実感していると答えたビジネスパーソンは9割を超えた。

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 ビズリーチに登録する会員が対象なだけに、転職を含め自らのキャリアに対して高い意識を持つ面があるにせよ、将来のキャリアを考えたときに自らの市場価値を向上させたい個人は多いようだ。

 ビズリーチの伊藤統括部長は「短命化する企業寿命に対し、働く期間である労働寿命は逆に長くなっており、企業に委ねるだけでは不安と考える個人が増えている」と分析する。

 終身雇用制度は崩壊しつつあり、1つの会社だけで自分の労働寿命を全うする人は今後も減り続けるだろう。キャリアの晩年を意識すれば、おのずと継続的なスキルアップの必要性は高まってくる。

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 実際にリスキリングをしている回答者は約半数と、既にリスキリングを実施している企業の割合を上回った。一方、勤務先を通じてリスキリングをしている人は1割程度と少なく、4割が勤務先に関係のないところで個人的にリスキリングに取り組んでいる。

 既にリスキリングに取り組む個人からは「会社のためにキャリアを磨きたくない」「その企業専門の学びになってしまう可能性がある」との声も上がる。

 多くの日本企業はこれまで、優秀な人材を採用して複数の業務を経験させ、ゼネラリストを育ててきた。結果、その会社でしか通用しないスキルばかりが身に付き、人材市場の流動化が進まない原因にもなってきた。

 だが、コロナ禍で副業を解禁する企業が増え、ビジネスパーソンが自らの市場価値を知る機会も増えている。個人編のアンケートでは、定年まで勤めないだろうと回答した人は8割に上る。個人が企業に依存しない社会となりつつある今、企業が優秀な人材をつなぎ留めるためにも、学び続ける環境の提供が不可欠だろう。

 リスキリングを意識しない企業には、新卒・中途にかかわらず優秀な人材が集まらない時代が来るかもしれない。意識や行動で先行する個人を、企業はどうつなぎ留め、戦力化していくかが今、求められている。

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