利用者の拡大には出品者、言い換えれば出品される商品を増やすことが必要となる。メルカリはこれまでもドラッグストアや携帯ショップ、オンラインなどで初めてフリマアプリを使う人に出品方法などを説明する「メルカリ教室」を開くなど、出品者の拡大を図ってきた。10月12日から全国のセブンイレブンで販売を始めた、メルカリの利用方法についてのテキストや出品に使える1回分の梱包(こんぽう)資材などをセットにした入門キット(税込み198円)もその一つだ。そうした中で、メルカリショップスはさらなる強力な一手として、ビジネスモデルの基本としていた個人間取引の枠を緩め、事業者も出品できる仕組みをつくったともいえる。

 今後、メルカリショップスをメルカリの成長加速を促すコンテンツにできるかどうかは、いかにアプリ内での存在感を高められるかにかかっている。試用期間の反響について「想定以上だった」とソウゾウの石川佑樹CEO(最高経営責任者)は語るものの、好評の背景には8月に実施した購入金額の50%分のポイントを付与する「実質半額キャンペーン」もあった。アプリの利用者は当然ながら従来の個人間取引を求めて来訪するユーザーが多く、そうした人たちの視線をショップスにも広げ新たなニーズとして定着できるかがカギとなる。

 エース経済研究所の澤田氏は「とにかく一度使ってもらい、事業者が出店しているということをしっかり認知してもらうことが大切。そのためには大型のキャンペーンなどをこれからも打っていく必要がある」。メルカリショップスでは通常10%の販売手数料を年内は売上合計10万円まで無料とするほか、試用期間中にも展開したポイント還元キャンペーンを期間限定で実施。事業者ごとのウェブページの作成や、現在はスマホでしかできない出品管理をパソコンでもできるようにするなど機能拡充も急ぐ。

 メルカリショップスはあくまで中小事業者の出店に注力していく方針で、そうした意味では大規模事業者も多く利用する米アマゾン・ドット・コムや楽天市場とは毛色が異なる。ただ、今後さらなる成長を目指す局面ではメルカリショップスも、大企業狙いへと舵をきる可能性もある。今回の事業者の出店という機能の拡張は、ECの覇権をめぐる新たな戦いに向けたカウントダウンの始まりと言えるかもしれない。

この記事はシリーズ「Xの胎動」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。